鉱業ベンチャーが3年後めどに EVや風力発電タービンに必須
電気自動車(EV)や風力発電機のモーターなどに欠かせないレアアース(希土類元素)生産を目指すオーストラリアの新興企業「オーストラリアン・レア・アース」は、3年後をめどに同国南部で操業を開始する計画だ。公共放送ABC(電子版)が伝えている。
採掘免許を申請するのは、南オーストラリア州東部からビクトリア州西部にかけて広がる「コッパマラ鉱山プロジェクト」。オーストラリアで発見されたレアアース鉱床の中で唯一、精製が容易な粘土層から採掘できるのが最大の特徴だ。主にモーター用の強力な永久磁石などの原料となるレアアース4種、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、ジスプロシウムの埋蔵が確認されている。
同社は地元州政府と地域社会に開発計画を提示し、地下水や地質、大気への影響など基礎的な環境調査に着手している。地域の土地所有者との調整も進めており、3年後をめどに採掘免許を取得して生産を開始するとしている。
強力磁石が必要なら採掘以外に道はない
西オーストラリア州カーティン大のブレント・マッキネス教授(経済地質学)によると、オーストラリアではレアアースの探鉱がまだ十分に行われていない。中国は世界のレアアース資源の約85%を生産しているが、自国で供給の約70%を消費しているという。
マッキネス教授はABCに「世界は現在、レアアースの供給を中国に強く依存していますが、サプライチェーンを多様化することが重要です。そこことを私たちはコロナ禍とサプライチェーン混乱の教訓から学びました」と述べた。
温室効果ガス排出量の削減が拡大するにつれ、レアアースを多用するEVや風力発電タービンの需要は今後、確実に拡大していく。供給源の多様化は避けて通れない問題だ。
「強力な磁石が不可欠な風力発電タービンやEVを私たちが必要とする限り、それらの原料を採掘しなければなりません。それ以外に道はないのです」(マッキネス教授)
■ソース
Australian mining company pushes ahead with rare earth mine on SA Limestone Coast(ABC News)