ロウRBA総裁声明の要点
フィリップ・ロウ豪準備銀(RBA)総裁が7日発表した金融政策に関する声明の要点は次の通り
・世界のインフレ:依然として非常に高い水準を維持しているものの、鈍化しつつある。
・オーストラリアのインフレ:世界的な要因に加えて国内の旺盛な需要の影響で依然として高水準だが、今年中に4.75%まで低下する見通し。
・オーストラリア経済:2022年を通して力強く成長した。
・雇用市場:依然としてタイト(求人需要に対して人手が足りず、需給が引き締まった状態)だが、求人広告件数や欠員はやや減少しつつある。今後の成長の鈍化に伴い、失業率は上昇する見通し。
・賃金:今後さらに上昇する見通し。理事会は企業物価を注意深く監視していく。
・利上げの影響:個人消費減速のタイミングとどの程度落ち込むかは不透明。世界経済の先行きも予測できない。
・RBA理事会の優先事項:経済を安定させながらインフレを2〜3%の目標内に戻すことが優先目標だが、ソフトランディング(景気の軟着陸)は依然として狭い道である。
「複数形の利上げ」から「単数形の引き締め」変更が意味するものは?
累計の利上げ幅は11カ月間で3.5ポイントと前例のないハイペース。インフレに頭打ち感が出ていることもあり、利上げはいよいよ最終局面に入ったのではないかとの見方が出ている。
2月のロウ総裁の声明にあった「今後数カ月間、金利のさらなる引き上げ(further increases in interest rates)を予期している」という文言が、7日の声明では「金融政策のさらなる引き締め(further tightening of monetary policy)を予期している」に差し替えられた。
複数形の利上げから、単数形の引き締めに表現が変わったことから、「利上げはあと1回のみ。0.15ポイント引き上げて3.75%で打ち止めとする可能性も浮上してきた」と公共放送ABCのマイケル・ジャンダ記者は指摘した。
これまで、利上げ打ち止めの時期と「ターミナル・レート」(到達点、上限)について、ウェストパック銀、ANZ銀、ナショナル・オーストラリア銀(NAB)の3行が「5月に4.10%」、コモンウェルス銀が「4月に3.85%」と予測していた。
■ソース
Statement by Philip Lowe, Governor: Monetary Policy Decision(Media Release, Reserve Bank of Australia)
Live: ASX climbs off lows as Reserve Bank lifts cash rate by 0.25 percentage points to 3.6 per cent; InvoCare surges on takeover bid(ABC News)