オーストラリア国内での建造が焦点に
11〜14日の日程で米国を訪問しているオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は現地時間の13日、米太平洋艦隊の基地がある西部サンディエゴで、ジョー・バイデン米大統領、リシ・スナク英首相と米英豪首脳会談を行う。
3カ国の安保枠組み「オーカス」(AUKUS)を通した連携強化や「自由で開かれたインド太平洋」の重要性、国際情勢などについて話し合い、オーストラリアへの原子力潜水艦配備計画の詳細も発表する見通しだ。
公共放送ABC(電子版)によると、アルバニージー首相は12日朝、サンディエゴ港で散歩中に記者団に対し「オーストラリアの国防政策にとって、明日は新しい夜明けの日となる」と述べ、原潜導入計画をめぐる重大発表を示唆した。
米バージニア級原潜の転用も
現時点では、オーストラリアが導入する原潜の種類や国内で建造する隻数などについて公式発表はない。これまでに「2030年代初頭から米国のバージニア級原潜を最大5隻導入した後、英国が開発する次世代原潜を導入する」といった報道が出ている。
米国のジョー・コートニー下院議員(民主党)は12日、ABCテレビのインタビューで「オーストラリアは米国の中古原潜を導入するのか?新造するのか?」との質問に対し、「(オーストラリアは)最高品質の原潜を配備する。バージニア級の耐久年数は33年間ある。良い友人や同盟国に対してポンコツを押し付けることはあり得ない」と語り、既存のバージニア級原潜の輸出に含みを残した。
一方、10日付のABC(電子版)によると、南オーストラリア州のピーター・マリノスカス州首相(労働党)は「原潜がアデレードで新造されることを確信している」と語ったものの、そのすべてが国内で建造されるかどうかは不明との認識を示した。
ABCによると、原潜が国内で建造された場合、最盛期で最大8,500人の雇用を直接創出する可能性がある。間接的な雇用を含めると30年間で約2万人の雇用を生み出すとの試算もある。
紆余曲折してきた潜水艦配備計画
老朽化したオーストラリア潜水艦隊の刷新をめぐっては、これまで二転三転してきた経緯がある。前保守連合(自由党、国民党)のトニー・アボット首相(当時)は、静粛性に優れた「非大気依存推進」(AIP)システムを搭載した日本の通常型潜水艦「そうりゅう型」の技術導入に意欲を示した。
ところが、オーストラリア政府は2016年、フランスの通常型潜水艦技術を導入した共同開発を決定し、そうりゅう型の導入を見送った。しかし、オーストラリア政府は21年、オーカス発足に伴い、フランス潜水艦の導入計画を破棄し、新たに米英の技術を導入した原潜を配備すると発表。フランス政府は強い不満を表明していた。
■ソース
AUKUS nuclear submarine deal to create tens of thousands of jobs, government says(ABC News)
VISIT TO THE UNITED STATES, Press Release, Prime Minister of Australia