「年間GDPの0.15%」とアルバニージー首相
14日付の公共放送ABC(電子版)によると、2030年代初頭に米国から購入するバージニア級原潜に加え、オーストラリア国内では40年代初頭から2年に1隻のペースで英国設計の次世代原潜を建造して就役させる。50年代中盤までのオーストラリア製原潜の配備数は5隻、60年代までには合計8隻となる可能性がある。
さらに、戦略的環境の変化に応じて、英国で建造された原潜を追加調達するという。現時点で明らかになった数字を推計すれば、原潜の最終的な配備数は、米国製のバージニア級最大5隻に加え、オーストラリア製の次世代原潜8隻の合計13隻以上となる可能性がある。
アルバニージー首相の発表によると、オーストラリア政府は今後4年間、南オーストラリア州の原潜建造の拠点開発(20億豪ドル)、西オーストラリア州の潜水艦基地の刷新(10億豪ドル)など含む60億豪ドルの予算を投じる。潜水艦開発プログラム全体のコストは「1年間の国内総生産(GDP)の0.15%前後」(同首相)となる。ABCによると、オーストラリア政府は今後約30年間の総費用を2,680億〜3,680億豪ドル(約24兆円〜約33兆円)と見積もっている。
オーストラリア海軍は、ディーゼルエンジンで発電した電気でモーターを駆動させる通常動力型潜水艦「コリンズ級」6隻をアデレードの海軍造船所で建造し、1996年から03年にかけて就役させた。スウェーデン海軍の技術をベースに設計された旧式のコリンズ級は、静粛性に難があるなど問題が多いとされ、26年から順次退役年数を迎える。
コリンズ級に代わる次世代潜水艦の開発をめぐっては、オーストラリア政府が13年、静粛性に優れた日本の通常動力型潜水艦「そうりゅう級」の技術導入に意欲を示したものの、16年にフランスの通常動力型潜水艦技術を導入した「アタック級」の開発を決定していた。
しかし、オーストラリア政府は21年、アタック級の開発計画を一方的に破棄し、同年発足したオーカスのパートナーである米・英の支援の下で原潜を調達すると発表していた。
■ソース
AUKUS Nuclear-Powered Submarine Pathway, Media Release, Prime Minister of Australia
Australian nuclear submarine program to cost up to $368b as AUKUS details unveiled in the US(ABC News)