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「カンガルーの適正な間引きは必要」と先住民の狩猟家 ナイキ、プーマの皮革使用中止で

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非人道的との批判は「誤解を招く」

西オーストラリア州の海岸に佇むカンガルー(Photo: Nick Dunn on Unsplash)

「『お腹の赤ちゃん、かわいそう』 ナイキとプーマがカンガルー皮革の使用中止」から続く

 世界的な大手スニーカー・メーカーのナイキとプーマが、動物愛護の観点から、カンガルーの天然皮革の使用を中止する方針を表明した問題。オーストラリア東部ニュー・サウス・ウェールズ州でカンガルー猟を手がけるギャリー・トリンドールさんは公共放送ABC(電子版)に対し、カンガルーの子どもが「かわいそうだ」という主張は誤解を招いていると主張している。狩ったカンガルーを精肉業者やなめし工場に卸している先住民アボリジニのトリンドールさんは、次のように指摘している。

「私たちは間引きすべき個体を狩ります。それは年齢の高い大きなカンガルーです。私たちが狩るのは10匹のうち9匹がそうした個体です。つまり、子どもは十分に成長しているので、自分の力で生き残ることができるのです」

 トリンドールさんによると、オーストラリアが植民地化される前、カンガルーは水が飲める川の周辺のみに生息していた。しかし、欧州人が入植して農地を開梱したため水の飲める場所が広がったことから、生息数が大幅に拡大した。増えすぎたカンガルーによる農産物への打撃を防ぐため、適正な間引きは必要なのだという。

「プロの狩猟家やアボリジニがカンガルーの狩猟を止めたとしても、カンガルーを撃つ必要がなくなるわけではないのです」(トリンドールさん)

「カンガルーは地球環境にも優しい」

 カンガルーは温室効果ガスの排出量が少ないことから、環境負荷が低いとの声もある。牛や羊は温室効果が二酸化炭素の28倍とされるメタンをゲップや屁から大量に排出する一方、カンガルーはメタン排出量や水の消費量が少なく、野生であるため飼育用のエネルギーも要らない。

 オーストラリア・カンガルー産業協会のレイ・ボーダ会長がABCに述べたところによると、温室効果ガスの排出は牛・羊の約3分の1にとどまるという。

「商業生産されているカンガルー革は、すべて精肉用の副産物なので、利用されなければ廃棄されてしまいます。カンガルー産業は(牛・羊の産業と比べて)環境に与える影響はより小さいのです」(ボーダ会長)

■ソース

Puma and Nike’s plans to phase out kangaroo leather misguided, industry stakeholders say(ABC News)

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