激しいインフレで増額も「焼け石に水」か
33年ぶりの激しいインフレに見舞われているオーストラリアで20日、物価上昇に合わせて、社会保障手当の給付金額が一斉に引き上げられた。民放「9ニュース」(電子版)が伝えている。
オーストラリアの社会保障手当は、一般的な給与と同様に2週間に一度支払われる。高齢者手当「エイジ・ペンション」は、単身者の場合、2週間当たり37.50豪ドル引き上げられ、最大1,064豪ドルとなる。夫婦や事実婚のカップルは1世帯当たり同56.40豪ドルの増額となり、最大1,604豪ドルとなる。
1カ月当たりの高齢者手当を日本円に換算すると、単身者の場合約18万円、カップルで約28万円となる。ただ、オーストラリアの大都市では家賃も高騰しているため、賃貸生活者の場合は大半が家賃に消えていきそうだ。
高齢者手当は、積み立て型の確定拠出年金「スーパーアニュエーション」(スーパー)とは別に、連邦政府が最も若くて65歳と6カ月(生年によって異なる)以上の高齢者を対象に支給している。需給資格や金額は収入などによって変わる。
また、失業中の求職者手当「ジョブシーカー」は、子どものいない22歳以上の単身者の場合、2週間当たり24.70豪ドル、カップルの場合は同22.50豪ドル、それぞれ増える。1人親世帯への給付金は同33.90豪ドル増額となる。家賃支援金は同5.60豪ドル増えて最大157.20豪ドルとなる。
オーストラリアの社会保障手当は物価スライド制。消費者物価指数や賃金指数の上昇率に連動して定期的に見直しが行われている。次回の改訂は9月に実施される予定。
給付金引き上げによって、約470万人の受給者が恩恵を受ける。オーストラリア連邦政府のアマンダ・リシュワース社会サービス相はこう述べている。
「オーストラリアの社会保障制度は、弱い立場にある国民を支援するものであり、私たちは彼らが(生活コストの上昇によって)窮屈な生活を強いられていることを理解しています。物価スライド制は、我が国の社会保障制度の柱であり、国民が十分に必需品を購入できるようよう支援していきます」
■ソース
Nearly five million Aussies to receive pension, JobSeeker and carer payment boost today(9 NEWS)