非営利団体と労組が協定結ぶ 同じ賃金で労働時間短縮
非営利団体「オックスファーム・オーストラリア」はこのほど、オーストラリア・サービス業労組(ASU)との団体交渉で、労働者の1週間当たりの所定給与を保証した上で、労働時間を30時間(4日間)に縮小するとした労使協定に合意した。労使が週4日労働制に合意したのは、オーストラリアで初めて。23日付のメディア大手「ニューズ・コーポレーション」(電子版)が報じている。
オックスファームは労組との労使交渉の一環で半年間、フルタイム97人、パートタイム37人の従業員を対象に週4日労働制の実証実験を行った。その結果、従業員にとっても雇用主にとっても有益な結果が得られたという。
「週5日労働制は過去のもの」と労組
ASUビクトリア州支部民間部門のイモゲン・スターニ書記長はニューズに対し「労働生産性の評価基準は多様です。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活のバランス)は労働者の精神的、肉体的な健康にとって欠かせません。そのことをオックスファームが公式に認めたのは、喜ばしいことです」と述べた。
団体交渉の結果に対する組合員の投票は3月31日〜4月4日に実施されるが、スターニ書記長は組合員の大半が賛成すると確信している。
「月〜金の硬直的な週5日労働制は過去のものであり、現代の職場や従業員にはもはやふさわしくありません。特に(育児や介護などの)ケアの責任を負う労働者にとってはなおさらです。私たちは、より多くの企業がスタッフのワーク・ライフ・バランスの向上に取り組むことを願っています。今こそ、私たちの働き方を変える時なのです」(スターニ書記長)
柔軟な労働時間の改革に向けた一歩に
オーストラリアでは、週4日労働・週休3日制導入に向けた機運が高まっている。連邦議会上院委員会は9日、給与を100%維持したまま労働時間を80%に減らす取り組みを試験導入するべきだと提言している。
オックスファームは格差是正やジェンダー平等、気候変動対策などを掲げるリベラル派の非営利団体。一般的な営利企業では、同じ賃金の週4日制の導入がすぐに進むとは考えにくい。ただ、今回の合意は、柔軟な労働時間の改革に向けた一歩にはなりそうだ。
■ソース
Australian Oxfam workers to get four-day work week with full-time pay(news.com.au)