ミンズ党首が第47代州首相に就任へ
オーストラリア国内最大州の東部ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州で25日、任期満了に伴う州議会選挙(任期4年の下院の全議席と任期8年の上院の半数を改選)の投票が行われた。開票の結果、中道左派の最大野党・労働党が下院で過半数を制し、2011年以来、3期・12年ぶりに保守連合(自由党・国民党)から政権を奪回する。
公共放送ABC(電子版)は同日午後9時すぎ、「ドミニク・ペロテ州首相(与党保守連合代表代表、自由党党首)が敗北を認め、クリス・ミンズ同州労働党党首に伝えた」と報じた。
ABCの開票速報によると、午後9時28分の時点(開票率41%)で労働党が同州下院(定数93)の過半数47議席を制した。保守連合は26議席、急進左派の環境保護政党「グリーンズ」(緑の党)は3議席、諸派・無所属は7議席。現時点で10議席の当選が確定していない。
ミンズ氏は、英国王の名代であるNSW州総督の下で執り行われる宣誓式を経て、第47代NSW州首相に就任する。ミンズ氏は1979年シドニー生まれの43歳。米プリンストン大で修士号を取得後、慈善団体職員や労働党職員、市議などを経て、2015年にシドニー南郊コガラ選挙区から州下院選に出馬して初当選。21年6月から党首を務めていた。
タスマニア以外の全州が労働党政権に
選挙戦では、激しいインフレや利上げによる生活コスト上昇の問題が、主な争点となった。労働党は通勤者の負担を減らすため道路通行料金を1週間当たり最大60豪ドルに抑えることや、与党が推進した州営企業の民営化中止、ギャンブル依存症対策のための遊技機のキャッスレス化試行などを公約していた。
各社の世論調査では昨年から保守連合が劣勢となっていて、労働党の政権奪回はほぼ既定路線となっていた。
オーストラリアでは保守連合と労働党の二大政党制が定着しているが、過去数回の選挙では労働党が勝利を重ねている。労働党は昨年5月の中央の連邦議会選挙でも勝利して政権を奪回。NSW州選挙の勝利により、労働党は連邦政府と豪本土の7州・準州政府の全てで政権を掌握する。保守政権は南部タスマニア州政府のみとなる。