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EV向け需要拡大でリチウム2倍増産 オーストラリア企業「ピルバラ・ミネラルズ」発表

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約500億円投資して年間100万トン生産へ

 オーストラリアのリチウム開発企業「ピルバラ・ミネラルズ」は29日、西オーストラリア州北西部ピルガングーラのリチウム開発プロジェクトで、リシア鉱石(精鉱)ベースの年間生産量を100万トンと従来の計画から47%増産すると発表した。同社の取締役会が投資計画を承認した。

 増産に5億6,000万豪ドル(約494億円)を投じる。鉱床に隣接するリチウム精製工場「ピルガン・プラント」の生産能力向上、付近のインフラ整備の費用などに充てる。

 プロジェクトの現在の年間生産量は58万トン。従来の計画では10万トン増やして68万トンに増産するとしていたが、さらに32万トン積み増す。増産分の生産は2025年1〜3月期に開始し、25年後半にフル生産に入る計画だ。操業期間は25年間(22年以降)を予定している。

 世界的なEV普及を背景に増大しているリチウム需要に対応する。デール・ヘンダーソン最高責任者(CEO)は声明で「今回の追加増産の決定は、急速に拡大しているリチウム市場に商品を提供できるグローバルなサプライヤーとしての地位を盤石にするものだ」と述べた。

鉱石プロジェクトとしては「世界最大」

 リチウムは、リチウムイオン2次電池の主原料。世界的に普及が進む電気自動車(EV)に不可欠な資源であるため、需要が急拡大している。米地質調査所(USGS=2021年)によると、オーストラリアのリチウム生産量は世界最大。現時点で確認されている資源量もチリに次いで2位と豊富だ。

 このため、オーストラリア国内ではリチウム資源をめぐる大手の自動車・電池メーカーの争奪戦が加速しており、新規プロジェクトや増産の動きが相次いでいる。

 リチウム生産は現在、オーストラリア、チリ、中国、アルゼンチンの4カ国にほぼ集中している。抽出方法には、塩湖の水分を蒸発させる(チリ、アルゼンチン)と、鉱床から採掘した鉱石を精製する(オーストラリア)、の2種類がある。ピルバラ・ミネラルズによると、鉱石から採掘するリチウム開発プロジェクトとしては、ピルガングーラが世界最大規模だという。

 オーストラリア証券取引所(ASX)に上場しているピルバラ・ミネラルズの株価は29日、増産発表を受けて上昇。前日終値比で2.337%高い3.94豪ドルでこの日の取引を終了した。

■ソース
P1000 Project Final Investment Decision, ASX/Media Announcement(Pilbara Minerals)

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