物件の在庫は過去5年平均より約2割少ない
3月の住宅価格指数が上昇に転じたことで、低迷していた住宅市況が底を打ち、次の上昇相場への起点となるのかが注目される。ただ、構造的には、相場が本格的に復調したとは言えないようだ。
コアロジックのティム・ローレス調査部長は声明で「金利が高く、今年いっぱいは景気がスローダウンすると予測されているにもかかわらず、住宅価格に上昇圧力がかかっている背景には、他の要因があります」と述べた。
ローレス調査部長の分析によると、①広告に掲載される売出し物件の在庫が減少していること、②賃貸物件市場の需給がきわめてひっ迫していること、③コロナ後に海外からの移住者の需要が増大していること、が住宅価格を押し上げているという。
「3月末の8大都市の売出し物件の供給数は、過去5年の平均を約20%下回っています。3月四半期の住宅購入も5年平均より約7%低い水準にありますが、落ち込み幅は供給の減少を下回っています」
「賃貸市場の需給がここまでひっ迫してくると、賃貸をやめて住宅を購入しようという人も出てきます。ただ、住宅ローン金利が非常に高いので、誰もがローン審査に通るわけではありません」
「一方、(コロナ禍後の国境再開で)海外からの移住者は過去最高の水準で増えています。賃貸物件を見つけることが非常に難しくなっていますので、より多くの移民や長期滞在者が賃貸をスキップして住宅を購入しようとしている可能性があります」(ローレス調査部長)