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オーストラリア中銀、11会合ぶりに金利据え置き 「これまでの利上げの影響を精査する」とロウ総裁

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これで利上げは打ち止め? 5月以降に再利上げはあるの?

シドニー市内マーティン・プレースにある豪準備銀(RBA)本店(Photo: 守屋太郎)

 直近のインフレの鈍化と利上げの副作用を踏まえ、オーストラリアの中央銀行が金融引き締めのブレーキを緩めた。豪準備銀(RBA)は4日、月例の理事会を開き、政策金利を3.60%で据え置くと発表した。据え置きは2022年4月以来11会合ぶりで、おおむね市場の予想通り。RBAはインフレ圧力を抑えるため、22年5月以降今年3月まで10会合連続で利上げを続け、同金利を0.10%から3.60%まで引き上げていた。

 2月の消費者物価指数(CPI)の上昇率が6.8%と2カ月連続で前月を下回り、ここにきてインフレに減速感が出てきた。一方、過去に前例のないハイペースで実施してきた急激な利上げにより、住宅ローン金利の上昇や不動産価格の下落、個人消費の落ち込みなどマイナスの影響が顕在化している。

 RBAのフィリップ・ロウ総裁は声明で、据え置きの理由について「これまでの利上げの影響と今後の経済見通しを精査するための『延長時間』を確保するため」だと述べた。今後の金融政策については「インフレ目標(2〜3%)に戻すには、少しの追加金融引き締めが必要になる可能性があると認識している」と語り、引き締めの表現を先月からややトーンダウンさせた。

 最近の海外での金融不安については、「世界経済への追加の逆風となる」と指摘したものの、「オーストラリアの銀行システムは力強く、資金力があり、流動性が高い」と語り、オーストラリア経済への影響は小さいとの認識を示した。

 オーストラリア経済の現況については、「消費者物価指数(CPI)の月次統計を含む様々な指標が、オーストラリアのインフレはピークを打ったことを示唆している」とした上で、インフレは25年中頃までに3%付近まで低下するとの見通しを明らかにした。高金利と生活コストの上昇、住宅価格の下落が、消費を著しく減速させているとして、オーストラリアの経済成長は今後2年間、平均を下回るとの展望を示した。

 今後は、これで利上げが打ち止めになるのか、5月の理事会で再利上げがあるのかが、最大の焦点となる。現地の主なエコノミストからは、「現行の3.60%で打ち止め」、「5月にもう一段、0.25ポイント引き上げて3.85%で打ち止め」といった予測が出ている。

■ソース

Statement by Philip Lowe, Governor: Monetary Policy Decision(Reserve Bank of Australia)

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