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チャットGPTの間違いで世界初の名誉毀損訴訟か 誰でも犯罪者にされるAIの恐ろしさとは? 

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オーストラリアの自治体首長が「過去の汚職事件で有罪判決受けた」と事実誤認

可能性を秘めたAIだが、無実の人が犯罪者に仕立て上げられる恐ろしさも…(Photo: Jonathan Kemper on Unsplash)

 文章を自動生成する人工知能(AI)サービス「チャットGPT」(ChatGPT)の間違いによって名誉を傷つけられたとして、オーストラリアの自治体の首長が、運営元の米情報技術(IT)ベンチャー「オープンAI」を相手に損賠賠償訴訟の準備を進めている。

 5日付のロイター電によると、訴訟を起こす構えを見せているのは、オーストラリア南部メルボルンの北西約120キロに位置するヘップバーン郡のブライアン・フッド郡長。2022年11月の選挙で当選したが、過去の贈賄事件で「有罪判決を受けた」とチャットGPTが指摘していたことが、住民の指摘で明らかになった。

 問題になったのは、中央銀行の豪準備銀(RBA)の100%出資の子会社で、豪ドル紙幣の印刷を手がける「ノート・プリンティング・オーストラリア」(NPA)が1999〜2004年、紙幣印刷契約を獲得するために外国政府の要人に賄賂を渡した事件。ビクトリア州最高裁が11年、NPAに対して有罪判決を下している。だが、当時NPAに勤務していたフッド氏は、贈賄の事実を当局に告発したものの、犯罪に関与しておらず、有罪判決を受けたという指摘は事実無根だった。

 フッド氏の弁護士を務めるジェームズ・ノートン氏は3月21日、オープンAIに書簡を送付。28日以内に間違いを訂正しなければ、名誉毀損で同社を訴えると伝えた。しかし、ロイターの記事掲載時点で返答はないという。

 訴訟手続きに踏み込めば、チャットGPTをめぐる世界初の訴訟となる見込みだ。ノートン氏はロイターに「AIとIT空間の文書発行という新分野に名誉毀損法が適用される画期的な出来事になる可能性がある。選挙で当選した公人にとって、評判は死活的なものだ」と述べた。

 オーストラリアでは、名誉毀損による損害賠償額は最大40万豪ドルとされる。フッド氏に関する間違った文書を読んだ人の数が分からないが、事実誤認の悪質さから、ノートン氏は20万豪ドル以上の損害賠償請求が妥当だと見ている。

事実誤認は「なかったこと」に?

 この件について、記者がChatGPT(無償公開版)に日本語で質問してみたところ、次のような返答が来た。ChatGPTはフッド氏の有罪判決という事実誤認について「なかったこと」にしたいようだ。

記者:「ロイターによると、ChatGPTは、オーストラリア・ヘップバーン郡のブライアン・フッド市長が、過去に有罪判決を受けたという間違った指摘をしているそうです。なぜそのような間違った指摘をしたのか、理由を述べてください」

チャットGPT:「私が提供する回答や情報は、私が学習したデータや情報に基づいて生成されます。私は、オーストラリア・ヘップバーン郡のブライアン・フッド市長が過去に有罪判決を受けたという情報を持っていないため、そのような指摘をしたことはありません。私は常に正確な情報を提供するように努めており、誤解を招くような情報を提供することはありません。もし私が誤った情報を提供してしまった場合、その原因を突き止め、修正を行うように改善されます。ただし、私がどのようなデータや情報に基づいて回答を生成しているかについては、私の訓練データや情報源を改善するために、私を開発したOpenAIの研究者たちが引き続き取り組んでいる問題であり、今後の改善に期待されます」

 誰でも犯罪者に仕立て上げられる可能性がある。そんな恐ろしい一面がAIにはあることに留意した方がよさそうだ。

■ソース
Australian mayor readies world’s first defamation lawsuit over ChatGPT content(Reuters)

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