価格は28年間で7倍以上に跳ね上がる
オーストラリア東部シドニーで最も狭い戸建て住宅の1つと見られるミニ物件が3月29日、競売にかけられ、130万5,000豪ドル(約1億2,000万円)で落札された。
11日付の不動産情報サイト「ドメイン」によると、売却が決まったのはシドニー市内西部グリーブの住宅街にある2階建ての戸建て住宅。間口の幅は、わずか3メートルと一般的な駐車場1台分(約2.4メートル)より少し広い程度で、広い戸建て住宅が多いオーストラリアの水準では異例の狭さ。ドメインの売買記録によると、シドニーでこれより間口が狭い住宅は数例しかないという。
シドニー近郊の古い住宅地には、両隣の家と壁を共有するレンガ造りの「テラスハウス」が多い。間口が狭く細長い「うなぎの寝床」のような間取りが特徴的。かつては労働者階級向けの安い住宅として供給されたが、今日では歴史的な価値の高い「古民家」として改装され、高値で取引されている。
この物件も、41平方メートルの細長い土地に建つ古いテラスハウスを洒落たカフェ風にリフォーム。1階にリビングルームとキッチン、バスルーム、8平方メートルの小庭があり、駐車場はない。2階にはベッドルーム2部屋があり、主寝室からはシドニー中心部の高層ビル街も見渡せる。
ドメインによると、この物件は1995年に18万豪ドル(約1,600万円)で売却されており、価格は28年間で7.25倍に膨れ上がった。
シドニーの住宅価格は、安定した経済成長や移民受け入れによる人口増を背景に、おおむね右肩上がりの上昇を続けてきた。コロナ経済対策の超低金利政策で一段と高騰。不動産情報会社「コアロジック」によると、シドニーの住宅価格指数はコロナ感染拡大から22年1月の最高値まで27.7%上昇した。その後、利上げの影響で低迷しているものの、ピークから今年3月末までの下落幅は12.3%にとどまっており、価格水準は依然として歴史的な高値圏にある。
■ソース
Skinny house the width of a car park sells for $1.3 million(Domain)
Hedonic Home Value Index(CoreLogic)