大手銀予測 移民受け入れ再開で需要急増、空室率は最低水準に
オーストラリアでは激しいインフレがようやく峠を超えたもようだが、家賃は引き続き上昇していく見通しだ。移民増加などで需要が急増しているにもかかわらず、物件の供給が不足しているため、空室率が記録的な低水準に。コモンウェルス銀は家賃が年末までに最大7%上昇すると予測しており、賃貸生活者にとっては厳しい局面が続く。
コモンウェルス銀が21日に発表した顧客向けの短信リポートによると、今年3月時点の国内8州都の賃貸広告ベースの家賃は、前年同月比で11.5%上昇した。新型コロナ感染拡大以降の上昇幅は23.4%に達した。
家賃がインフレを上回るペースで上昇しているのは、拡大している賃貸需要に対して供給が不足していて、需給がひっ迫しているためだ。23年2月時点の空室率は6つの州都の平均で1%以下まで低下。南部アデレードと西部パースがともに0.3%、北東部ブリスベンが0.6%、シドニーが0.9%など記録的な低水準となっている。
コモンウェルス銀によると、需要と供給の両面で、様々な要因が複合的に絡み合っているという。
需要面では、◇コロナ禍の影響で1世帯当たりの人数が少なくなった結果、借り手の数が増えたことと、◇コロナ禍の収束に伴う移民受け入れの再開で海外からの移住者が急増していること、の2点の影響が大きいとしている。
また、供給面の要因としては、◇以前からの慢性的な住宅不足に加えて、◇昨年5月以降の急激な利上げの影響で新規の住宅供給が滞っていること、◇米民泊サービス大手「エアビーアンドビー」などの普及を背景に主に旅行者向けの短期賃貸物件が増えていること、を挙げている。
コモンウェルス銀の予測によると、オーストラリアの消費者物価指数(CPI)は2022年第4四半期(10月〜12月=前年同期比7.8%)にピークを打ち、今年第4四半期には3.4%まで低下する見通しだ。しかし、賃貸需給のひっ迫は今後もしばらく継続するか、むしろ加速するかもしれない。22年第4四半期時点で前年同期比4.0%増だったCPIベースの家賃上昇率は、今年第4四半期には最大7%まで加速する見通しだという。
■ソース
Rents to continue to rise strongly in 2023(Commonwealth Bank of Australia)