金融引き締めの効き目が出てきた?
新型コロナウイルスの感染拡大から3年。オーストラリアの消費者物価指数(CPI)は2020年6月に前年同期比でマイナス0.3%を記録して以来、ほぼ右肩上がりに上昇してきたが、ようやく減速に転じた。
依然として1990年代初め以降で経験したことのない激しい物価上昇が続いていることに変わりはないものの、インフレは22年12月頃に天井を打った公算が高まった。中央銀行の豪準備銀(RBA)や主なエコノミストが予想してきた通りのシナリオだ。22年5月以降の急激な利上げが、タイムラグを置いてようやく効いてきた可能性がある。
ABSが四半期統計とは別に集計している月次のCPI上昇率(26日発表)を見ても、22年12月の前年同月比8.4%をピークに23年1月7.4%、2月6.8%、3月6.3%と物価上昇のペースが落ちていることが明らかになった。
CPI統計はRBAの金融政策や景気の動向を占う上で重視される。インフレが鈍化すれば利上げ圧力は弱まる。コモンウェルス銀が同日発表した予測によると、RBAは5月2日の次回会合で最後の利上げを行い、政策金利(3.60%)を0.25ポイント引き上げて3.85%で打ち止めとする見通しだ。
■ソース
Consumer Price Index, Australia, March Quarter 2023(Australian Bureau of Statistics)
Q1 23 CPI and implications for the RBA, 26 April 2023(Commonwealth Bank of Australia)