来週5月2日の中銀会合で金利据え置きか
オーストラリアの有力なエコノミストとして知られるウェストパック銀のビル・エバンス氏は28日、中央銀行の豪準備銀(RBA)が来週5月2日の次回会合で、政策金利を3.6%で据え置くとの見通しを示した。顧客向けの週刊リポートで明らかにした。
これによると、2022年5月から続いてきた今回の金融引き締め局面における同金利のターミナル・レート(上限、到達点)は、現行の3.6%で打ち止めになるという。エバンス氏はこれまで3.85%としていた予測を下方修正した。
エバンス氏は「不透明な景気の先行きとインフレ圧力を抑える必要性から、RBA理事会が明確な引き締めの姿勢を維持することはほぼ間違いない。しかし、2023年を通して、こうした引き締めの姿勢が次第に弱まっていく可能性がある」と指摘した。
激しいインフレは峠を超えたか
RBAは22年5月以来、当時0.1%と史上最低水準にあった政策金利を10会合連続で引き上げ、3月に3.60%とした。4月の会合では利上げをいったん停止していた。
10カ月で3.5ポイントという過去に前例のないハイペースの利上げは、副作用ももたらしている。金融引き締めの目的は、コロナ後の供給制約や経済再開、ロシアによるウクライナ侵攻による商品価格の高騰による激しいインフレを抑え込むことにあるが、不動産価格など資産の下落や金利変動型住宅ローンの支払い増加など国民生活に影響を及ぼしている。
急激な利上げの効果が現れてきたのか、インフレは12月頃にピークアウトした可能性がある。22年12月期(10〜12月)の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同期比7.8%と1991年以来33年ぶりの高水準を記録した後、26日に発表された3月期(1〜3月)は7.0%に減速した。
利上げ打ち止めはコンセンサス
エバンス氏と同様、市場は金利据え置きを織り込んでいる。オーストラリア証券取引所(ASX)の金利先物価格を元にした「RBA金利指標」によると、「RBAが次回会合で政策金利を据え置く確率」は28日の取引終了時点で100%となっている。
一方、コモンウェルス銀は、RBAが5月の会合で政策金利を0.25ポイント引き上げて3.85%にすると予測している。だが、今回の局面ではこれが最後の利上げになるとしている。ターミナル・レートをめぐってはエコノミストによって意見が分かれているが、5月以降に再利上げはないとの見方では、ほぼ一致している。
■ソース
Australia & New Zealand Weekly, Week beginning 1 May 2023, 28 April 2023(Westpac Institutional Bank)