15年務めたジョイス氏退任 コロナ収束で区切り
オーストラリアの航空最大手のカンタス航空や、格安航空会社のジェットスターを傘下に持つカンタス・グループは2日、バネッサ・ハドソン最高執行責任者(COO)を最高経営責任者(CEO)に昇格させる人事を発表した。女性が経営トップに就くのは、同社の103年間の歴史で初めて。年次株主総会での承認を経て、11月に正式に就任する。
現CEOのアラン・ジョイス氏は2008年11月に就任。15年間、世界金融危機、コロナ禍の都市・国境封鎖、燃料費高騰、再開後の運航の混乱などの課題に立ち向かってきた。以前から退任の意向を示していたが、コロナ禍で業績が急激に落ち込んだため慰留されていた。22/23年度上期(22年7月〜12月)決算で、上期としては過去最高の黒字を計上するなどV字回復を果たし、コロナからの復興を完了したことで後身に道を譲る。
ハドソン氏は大手会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツを経て1994年にカンタス入社。販売・流通部長、米州・ニュージーランド部門の上級副社長などを歴任した後、18年から最高顧客責任者(CCO)、19年からCOOを務めていた。
リチャード・ゴイダー会長は今回の人事について「社内と社外で数多くの優秀な候補を検討した」とした上で、「これまで5年間、グループ経営委員会の一員を務め、コロナ危機での金融・財務の対応で傑出した実績を残した」などと述べ、社内生え抜きのハドソン氏を登用した理由を述べた。
ハドソン氏は「(カンタスは)信じられないほど高い能力を持った数多くのスタッフに恵まれ、将来に向けて有望な企業だ。私たちが仕える顧客と従業員、株主、地域社会のために全力を尽くす」と抱負を語った。
ジョイス氏は「取締役会の要望を受けて、コロナ禍からの復興計画を実行するため留任していた。今、危機を乗り越えたことで、身を引くのには最適なタイミングだ」と説明した。