連邦政府、9日発表の新年度予算案に盛り込む
オーストラリア連邦政府は、電気料金の高騰で打撃を受けている世帯や事業者に最大500豪ドル(約4万6,000円)を給付する。9日発表の2023/24年度(23年7月1日〜24年6月30日)予算案に盛り込む。ジム・チャーマーズ連邦財務相が7日、公共放送ABC(電子版)のインタビューで明らかにした。
対象は全国民ではなく、高齢者手当や失業手当などを受給している550万世帯以上と、約小規模事業主100万社を支援する。総額15億豪ドルの予算を充てる。給付方法など詳細は予算案で明らかにする。
給付金の額は条件によって異なる。チャーマーズ財務相はABCに「高齢者手当や政府の給付金を受給している人、小規模事業主は、数百豪ドル受け取ることができる。金額はどこに住んでいるか、どれだけ(電気料金の高騰による)ダメージが大きいかによって変わってくる」と述べ、既に同様の給付金を計画している州・準州政府と共同で取り組む考えを示した。
天然ガス課税強化で24億豪ドル増収へ
一方、海上の天然ガス田を運営する企業などから徴収する「石油資源利用税」(PRRT)をめぐっては、連邦政府は税制を見直すことで今後4年間に24億豪ドルの増収を見込む。1980年代に導入されたPRRTは年間約20億豪ドルの税収を生んでいるが、巨額の利益の割に税収が少なく、オーストラリア国内に還元されていないとの批判が根強い。
PRRTの税率は40%だが、ガス田の試掘と開発の費用を長期国債レートに連動して将来にわたって控除できるため、一般的な法人税と比べて優遇されているとされる。政府は税額控除に一定の上限を設ける制度改正を目指し、7月1日から施行して増収を図る意向だ。一方、上院でキャスティングボートを握る左派の野党グリーンズ(緑の党)は税額控除の全廃を主張しており、紆余曲折も予想される。
チャーマーズ財務相はABCに「税制の見直しにより、これらの資源からより公正な見返りをより早く得られるようになる」と語り、増収分を生活コスト支援策をはじめとする予算案の歳出策の財源とする考えを示した。