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【オーストラリア連邦予算案】今年度の財政収支は15年ぶり黒字42億豪ドル

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好調な雇用と資源高で税収上振れ

グラフ作成:守屋太郎

 オーストラリア連邦政府は9日、2023/24年度(23年7月1日〜24年6月30日)の国家予算案を発表した。労働党政権の下で22年10月に続き2回目となった今次予算案では、連邦財政のバランスシートが大幅に改善する見通しだ。好調な雇用情勢と高い資源価格を背景に、今年度(22/23年度)の基礎的財政収支は15年ぶりの黒字を見込む。歳出面では、低所得者層を対象に光熱費の補助、給付や家賃支援の増額などを打ち出し、高いインフレと急激な利上げで高騰している生活コストの低減を図る。

 22/23年度の歳出は前年度比2.5%増の6,314億豪ドル(約57兆8,000億円)、歳入は8.8%増の6,356億豪ドルを見込む。歳入から歳出を引いた基礎的財政収支は、前年度の320億豪ドルの赤字から、42億豪ドル(国内総生産=GDPの0.2%)の黒字に転換する見通しだ。

 実現した場合、オーストラリアの政府財政が単年度黒字を達成するのは、ピーター・コステロ財務相の保守連合政権以来15年ぶりとなる。政府は22年10月時点で22/23年度の収支を369億豪ドルの赤字と見込んでいたが、大幅に上方修正した。

黒字化は先進諸国で唯一

 黒字化が見込まれる最大の要因は、歴史的な低失業率下で雇用が伸びたことに加え、世界的なインフレとウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰により、所得税、法人税ともに税収が大幅に上振れしたことにある。チャーマーズ財務相によると、主要先進国で財政黒字を見込んでいるのはオーストラリアのみ。結果的には、世界的なインフレと地政学リスクで「漁夫の利」を得た格好と言えそうだ。

 ただ、黒字は短命と見られている。23/24年度予算案の規模は、歳出が前年度比8.0%増の6,821億豪ドル、歳入が5.1%増の6,681億豪ドル、基礎的財政収支は139億豪ドル(GDPの0.5%)の赤字を見込む。赤字幅は22年10月時点で予測していた440億豪ドル(同1.8%)から大幅に改善する見通しだ。

 基礎的財政収支の赤字額はその後、24/25年度に351億豪ドル(同1.3%)、25/26年度に366億豪ドル(同1.3%)と拡大するものの、いずれも22年10月時点の予測(24/25年度513億豪ドル、25/26年度496億ドル)から改善を見込んでいる。赤字額は今次予算案の最後の予測範囲である26/27年度には285億豪ドル(同1.0%)となる見通しだ。

「インフレ加速させない」と財務相

 チャーマーズ財務相は10日夜に連邦議会で行った予算案スピーチで、予算案の要点として◇必要としている世帯の生活コストの緩和、◇メディケア(国民健康保険)への投資、◇恵まれない国民の障壁撤廃と機会拡大、◇クリーンエネルギーや高付加価値産業の成長支援、◇財政収支の改善―の5点を挙げた。

 その上で同財務相は「インフレ圧力を抑えるために緊縮財政を維持しながらも、生活に困っている国民には可能な限り手を差しのべる」と述べた。財政支出の拡大はインフレに油を注ぎかねないが、同財務相は生活コスト支援策の対象を低所得者層に限定しており、電気料金の補助はむしろ物価圧力を低下させると主張している。(続く)

■ソース

Budget 2023-24 Budget Paper No.1

Budget Speech 2023-24, Jim Chalmers MP Treasurer

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