中国念頭に「力による現状変更」に強く反対
主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)に出席するため広島を訪れているオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は20日、サミットに合わせて開催された日米豪印(クアッド)の首脳会談に出席した。
岸田文雄首相は「4カ国の連携と『自由で開かれたインド太平洋』という共通のビジョンへの強固なコミットメントを示す意義は大きい」との認識を示し、4カ国の首脳がこれに一致した。
また、海洋進出を加速させる中国を念頭に4カ国が連携することを改めて確認した。岸田首相が東シナ海、南シナ海、インド太平洋での「力または威圧による一方的な現状変更の試み」に懸念を表明し、4首脳はこれに強く反対することで一致した。
ウクライナ侵攻を続けるロシアによる核の威嚇については、4首脳はこれを受け入れず、その使用は許されないとの認識で一致した。気候変動や保健、インフラ、テクノロジー、サイバー空間、宇宙開発などの幅広い分野での協力を深めていくことでも一致した。
来年のクアッド首脳会合は、インドが対面で主催することが決まった。
クアッド首脳会合が対面で行われるのは3回目。今年はG7サミット後にオーストラリアのシドニーで開催する予定だった。しかし、米国の債務上限問題の決着が難航していることから、バイデン米大統領が訪豪を直前に取りやめたため、4首脳が集まる広島で急きょ開催されることになった。
アルバニージー首相は21日の会見で、G7サミットに参加するため来日したウクライナのゼレンスキー大統領への支援をうたったG7声明を支持すると表明。「核軍縮の重要性とその道筋に関する前向きな声明を支持する」と述べた。
また、アルバニージー首相は中国問題についても言及。南シナ海上で昨年5月、中国機がオーストラリア空軍の哨戒機に接近して妨害した問題に触れて「中国の活動について私たちは懸念を表明してきたし、これからもそうしていく。地域の平和と安保、安定を高めるために私たちは協力する必要がある」と述べた。その上で首相は台湾海峡の現状維持を支持するオーストラリアの立場を改めて強調した。
■ソース
外務省「オーストラリア連邦」
PRESS CONFERENCE – HIROSHIMA, JAPAN(Prime Minister of Australia)