デルタ株まん延からの経済再開以降で最低の水準に
オーストラリアの経済成長が減速の度合いを強めている。オーストラリア統計局(ABS)が7日発表した1月〜3月期の実質国内総生産(GDP)の成長率は、前期比0.2%増と2022年10月〜12月期の0.6%増から鈍化した。前年同期比では2.3%増(前期は2.7%増)だった。
前期比の成長率は、新型コロナ・デルタ株の感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)の影響で2.1%減となった2021年7月〜9月期以降で、最低の水準を記録した。
コロナ後の移民受け入れ再開で人口が伸びていることから、国民1人当たりの実質GDP成長率は0.2%減となった。人口減が続く日本と異なり、オーストラリアは人口増加を上回るスピードで経済成長を達成する必要があるが、1人当たりで見るとGDPの伸びは既にマイナスに落ち込んでいる。
GDPをけん引する個人消費(家計支出)も前期比0.2%増にとどまり、21年7月〜9月期以降で最も低い水準となった。依然として高水準にあるインフレと2022年5月以降の急速な利上げの影響で、個人消費の伸びが鈍化し、景気の減速が顕在化しつつあることがうかがえる。
ABSのGDP統計部門の責任者を務めるキャサリン・キーナン氏は声明で「生活に必需な商品とサービスの消費が家計支出の伸びを支えた一方で、家具や家庭用品、自動車など『裁量的支出』(ぜいたく品)が減少した」と述べた。生活コストの上昇を背景に、可処分所得が縮小していることが裏付けられている。
■ソース
Economic activity up 0.2 per cent in March Quarter, Media Release(Australian Bureau of Statistics)