家計はぜいたく支出減らし生活防衛
オーストラリア経済の減速感が強まっていることについて、ジム・チャーマーズ連邦財務相は7日、「利上げが悪影響を与えていることは明らかだ」との認識を示した。
オーストラリア統計局(ABS)が同日発表した1月〜3月期国内総生産(GDP)成長率は、前期比0.2%増にとどまった。チャーマーズ財務相は「金利引き上げと高いインフレ、減速する世界経済による強い逆風を踏まえると、驚くべき数字ではない。家計は金利上昇と生活コストの上昇によって重圧を受けている」と述べた。
その上で同財務相は「家計は生活必需品のために、裁量的支出(ぜいたく支出)を減らしている」と指摘した。1月〜3月期の個人消費の伸びは0.2%まで鈍化。利上げで住宅ローン支払い額は1年前と比べて倍増。家計貯蓄率は3.7%とリーマンショックが起きた2008年以降で最低の水準まで落ち込んでいる。
「1年半以内に景気後退もあり得る」とエコノミスト
一方、移民受け入れの再開により、人口増加のスピードは経済成長を追い越した。1人当たりGDPの成長率は2022年7月〜9月期0.1%増、22年10月〜12月期0.1%増とほぼ横ばいが続いた後、23年1月〜3月期は0.2%減とマイナスに転落した。
本格的なリセッション(景気後退=2四半期連続のマイナス成長)が間近に迫っているとの見方も出ている。金融大手AMPの副主席エコノミストを務めるダイアナ・ムシナ氏は、公共放送ABC(電子版)にこう述べた。
「豪準備銀(RBA)のタカ派的な姿勢と、7月または8月に予想される再利上げを踏まえると、今後1年〜1年半の間に(1人当たりGDPベースではない)本物のリセッションがやってくる可能性は高そうだ。私たちの見方では、RBAは金利を引き上げ過ぎた。インフレの先行指標は既に、今後半年間にわたって物価の伸びが鈍化することを示しており、RBAはインフレ圧力を抑えるためにリセッションを引き起こし、家計を痛めつける必要はない」
■ソース
“National Accounts”, Media Release(The Hon Jim Chalmers MP Treasurer)
Australia’s economy grew by 0.2pc in March quarter, signalling marked slowdown in GDP(ABC News)