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オーストラリアの大麻規制はどうなっているの? 「大麻には決して手を出さないで」と外務省

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議会第3勢力「緑の党」も合法化主張

向精神作用が高い「テトラヒドロカンナビノール」(THC)を多く含むアサの雌株の花冠(Photo:
CRYSTALWEED cannabis on Unsplash)

 オーストラリアの小政党「リーガライズ・カナビス」が20日、国内3州の議会に娯楽用大麻の限定的な合法化法案を上程した。法案が成立する可能性は低いものの、オーストラリアではリベラル勢力などの一部に娯楽用大麻の合法化を求める声がある。2大政党の連邦与党労働党と最大野党の保守連合はいずれも合法化を掲げていないが、連邦議会の第3勢力である野党の左派「グリーンズ」(緑の党)は規制緩和を主張している。

そもそも大麻って何?

 大麻(マリファナ、カナビスとも)は、アサ科アサ属の1年草「アサ」(麻、大麻草、学名:Cannabis sativa)の花冠(花びら)や葉を乾燥させたり、樹脂にして固めたりしたもの。パイプや水パイプを使ったり、紙に巻いたりして火を付け、その煙を吸引すると多幸感や陶酔が得られるとされる。食欲増進効果もあると言われている。

 アサには、「カンナビノイド」と呼ばれる様々な化学物質が含まれているが、このうち陶酔作用を持つのが「テトラヒドロカンナビノール」(THC=C21H30O2)だ。特に雌株の花冠はTHCの含有量が高い。人為的な水耕栽培などでは、種をつけさせずに肥大化させた花冠が生産され、珍重されている。

 一方、カンナビノイドの1つである「カンナビジオール」(CBD)は、THCのような向精神作用がないため、サプリメント(健康食品)などの形でオーストラリアや日本を含む多くの国・地域で合法的に流通している。このほか、アサは古来から、茎を原料とするリネンなどの植物繊維、種を利用する食用の実油や七味唐辛子など、様々な合法的な用途でコモディティー(汎用品)としても広く利用されている。

オーストラリアで大麻は違法なの?

 オーストラリアは2016年、THCを含む医療用大麻を合法化した。医師の処方箋があれば、慢性的な痛みを和らげる目的などで購入できる。しかし、連邦レベルではTHCを含む嗜好用大麻は違法となっている。

 ところが、首都キャンベラがある首都特別地域(ACT)政府は2020年、オーストラリアで初めて娯楽用大麻を限定的に合法化した。成人による乾燥大麻50グラムまたは生の大麻草150グラムまでの所持、家庭内での個人的使用、1人当たり最大2株(1世帯あたり最大4株)までの栽培を認めている。ただし、ACT法を優越する連邦法は大麻を合法化していないため、国では違法というねじれた状態が続いている。

 このため、日本の外務省海外安全情報は「連邦法においては、依然として大麻の所有及び栽培は違法になっているため、ACT内でも取り締まりの対象となる可能性があります。なお、大麻については依存性があるだけでなく、急性の認知障害や精神運動機能障害、長期の使用障害として呼吸機能低下や精神病症状の発現等が指摘されています」と呼びかけている。

 一方、ACT以外の州・準州では娯楽用大麻は依然として違法となっている。州によって罰則は異なるが、例えば最大都市シドニーがある東部ニューサウスウェールズ州では、有罪の場合、大麻所持は最大で2年の禁錮刑となっている。初犯の場合、個人で使用する目的で15グラム以下の少量所持では、警官の裁量により警告書の通知で済む場合もある。2回目は薬物カウンセリングの命令を受け、3回目は起訴される可能性がある。密売目的の大量の大麻所持は厳罰が課される。

 また、日本の大麻取締法は、日本人による国外での所持なども処罰の対象としている。場合によっては、日本国内で罰せられる可能性がないわけではない。外務省は「大麻が合法化されている国でも、大麻には決して手を出さないようにしてください」と注意を喚起している。

■ソース

YES WE CANNABIS(The Australian Greens)

外務省安全情報 オーストラリア





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