5月のオーストラリアCPIは5.6%上昇、1.2ポイント減速
オーストラリアで約30年ぶりの激しいインフレは、金融当局の予測通り2022年12月ごろに峠を越えたと見られ、その後はペースは遅いものの勢いが収まりつつあるようだ。
オーストラリア統計局(ABS)が28日に発表した月次の消費者物価指数(CPI)統計によると、5月のCPI上昇率は前年同月比で5.6%となり、4月の6.8%から1.2ポイント鈍化した。月次CPIの上昇率は22年12月に8.4%でピークを打った後、年明けから鈍化基調が続いていたが、4月は3月の6.3%から0.5ポイント加速していて、インフレ再燃の恐れも出ていた。
野菜・果物や自動車燃料などの物価変動の激しい品目と休暇旅行費用を除く「基調インフレ率」も22年12月7.3%でピークアウト。3月6.9%、4月6.5%、5月6.4%と減速傾向が持続している。
ABSの物価統計部門を率いるミシェル・マーカート氏は声明で「昨年4月以降で最も低い伸びとなった。ほとんどのモノやサービスで物価は引き続き上昇しているものの、多くの場合、過去数カ月と比べて上昇幅が小さくなっている」と指摘した。
公共放送ABC(電子版)によると、5月のCPI上昇率は市場予測(5.6%〜6.9%)の下限だった。物価上昇の圧力がトーンダウンしていることが確認されたことから、エコノミストの間では豪準備銀(RBA)が来週7月4日に開く次回の理事会で、政策金利(現行4.10%)を据え置くのではないかとの観測が出ている。
ABSは従来、四半期のCPI統計のみを発表していたが、昨年9月のデータから月次データの公表を始めている。ただ、四半期統計と比べてサンプル数が少なく、数字は前年同月比のみで前月比のデータもない。このため、月次データはあくまで参考値と見る向きもある。4〜6月の四半期CPI統計は7月26日に発表される予定だ。
■ソース
Monthly CPI indicator annual rise of 5.6% in May 2023(Australian Bureau of Statistics)