5月予算案の42億豪ドルから148億豪ドルアップ
オーストラリア政府のバランスシートが、当初の見通しを大幅に上回るペースで改善している。連邦政府は6月30日、2023年5月の月次政府部門収支報告書を発表した。これよると、2022/23年度(22年7月1日〜23年6月30日)の単年度の現金財政収支は5月末時点で190億豪ドル(約1兆8,000億円)の黒字となった。
わずか1カ月あまりで、黒字幅は想定より148億豪ドル上振れした。政府は5月に発表した23/24年度予算案で、22/23年度の収支が42億豪ドルの黒字になるとの見通しを示していた。好調な労働市場や急激なインフレ、資源高騰を背景に税収が大幅に伸びたことにより、15年ぶりに単年度黒字を達成するとしていた。
政府部門の純累積債務も5月末時点で5,167億豪ドルと、予算案の5,486億豪ドルから大幅に改善した。
エコノミストのクリス・リチャードソン氏は自身のツイッターで、黒字幅が大幅に上振れした要因として、◇経済運営の成果を強調するため、民間企業なら粉飾決算ともとられかねない細工を行ったこと、◇ウクライナ戦争による資源高とインフレによる税収増が想定外だったこと、を挙げている。全国障がい者保険制度(NDIS)の見直しも歳出カットに寄与したと見られる。
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