インフレ抑制と金融引き締めの副作用見極め
オーストラリアの中央銀行、豪準備銀(RBA)は4日、金融政策を決める月例会合を開き、政策金利を4.1%で据え置くと発表した。コロナ経済対策の実質ゼロ金利政策を解除して金融引き締めに転じた2022年5月以降の14会合のうち、利上げ見送りは今年4月以来3会合ぶり2回目。30年ぶりの激しいインフレが鈍化傾向にあることから、利上げによる国民生活への副作用も踏まえ、ひとまず「一時停止ボタン」を押した格好だ。
「経済の先行きに漂う不透明感を踏まえ、据え置きを決定した。今日までの利上げの影響と景気の行方を精査する時間的余裕を与えてくれるだろう」−−。RBAのフィリップ・ロウ総裁は声明でこう述べ、利上げによるインフレ抑制効果と、国民生活に与える副作用のバランスを慎重に見極めたい考えを示した。
シドニー本店前で抗議デモも
これまでの急激な金融引き締めに対しては、生活コストの上昇にあえぐ国民から風当たりも強まっている。現地メディアによると、この日は、利上げに反対するグループがシドニー市内中心部マーティン・プレースのRBA本店前の広場に集まり、小規模な抗議集会を行った。だが、同総裁は「昨年5月以降累計4.0ポイントの急な利上げは、経済の需要と供給の持続可能なバランスを維持するために効果を上げてきたし、今後もそうするだろう」と利上げの妥当性を強調した。
一方、今後の金融政策については、引き続き追加利上げの可能性を排除しなかった。同総裁は「妥当な時間軸の中で確実にインフレ目標(2〜3%)に戻すためには、さらなる金融引き締め(単数)が必要となるかもしれないが、経済と物価の動向に左右される」と先月の声明と同じ文言をリピートした。
市場は据え置き好感、株高に
事前の市場予測は「据え置き」と「0.25ポイントの追加利上げ」でほぼ五分五分に分かれていた。
オーストラリア証券取引所(ASX)の主要株価指数「S&P/ASX200」は4日午後2時30分の金利据え置き発表を好感して上昇。前日終値と比べて32.90ポイント(0.25%)高い7,279.00で取引を終了した。
■ソース
Statement by Philip Lowe, Governor: Monetary Policy Decision(Reserve Bank of Australia)