政策金利のターミナル・レートは4.6%?
豪準備銀(RBA)が3会合ぶりに利上げの見送りを決めた。ただ、現行の4.1%で利上げが打ち止めになるとの声は聞かれない。今後の利上げ回数と金利のターミナル・レート(到達点、上限)の予測には幅があるが、例えば有力なエコノミストの1人であるウェストパック銀のビル・エバンス氏は4日、「8月と9月に0.25ポイントずつ追加利上げがあり、ターミナル・レートはこれまでの予測通り4.6%」と予想している。
経済再開や供給網の目詰まり、ウクライナ戦争などで加速したインフレを抑え込むため、RBAは22年5月から今年6月までの1年1カ月間、政策金利を0.1%から4.1%に引き上げた。累計の利上げ幅は4.0ポイントと、過去に例のない激しいペースの引き締めとなっている。
急激な利上げの効果は、時間差を置いて浸透し始めているようだ。オーストラリアの消費者物価指数(CPI)の上昇率は22年10〜12月期に前年同期比7.8%と約30年ぶりの高水準を記録したが、23年1〜3月期は同7.0%に鈍化。月次CPIを見ても、22年12月に前年同月比8.2%でピークアウトした後、直近5月には5.6%まで減速してきている。
ただ、歴史的に見ると物価は依然として高水準にあり、インフレ目標の「2〜3%」にはほど遠い。引き締めの手綱を緩めれば、高止まりする懸念もある。大半の市場参加者が、あと1、2回の追加利上げの後、RBAが利下げに転じるのは年明け以降と予測しているのは、今回のインフレの粘着力がそれだけ強いと見ているからだ。
■ソース
RBA Board pauses in July, to take more time to assess the outlook, Bill Evans, Chief Economist, Westpac(Westpac IQ)
Inflation(Reserve Bank of Australia)