1,700億円の大型M&A、株主総会の承認経て実現へ
オーストラリア政府の外資審議委員会(FIRB)はこのほど、キリンホールディングス(HD)が計画している同国の健康食品大手「ブラックモアズ」(本社シドニー北郊ワリーウッド)の買収案をめぐり「異議を唱えない」と表明した。ブラックモアズが4日、オーストラリア証券取引所(ASX)への開示文書で公表した。ブラックモアズの主要輸出先である中国の国家市場監督管理総局も、買収案を承認したとしている。
7月18日に開かれるブラックモアズ株主総会での議決と、裁判所の承認を経て、キリンHDは8月にオーストラリア会社法に基づく上場会社の株式取得方法「スキーム・オブ・アレンジメント」(SOA)を実行する計画だ。現地法人「キリン・ヘルスサイエンス・オーストラリア」を通してブラックモアズの全株式を取得する。実現すれば、18億8,000万豪ドル(約1,700億円=金額は買収計画の発表当時)の大型買収となる。
キリンHDは4月に買収計画を発表していた。オセアニアや中国、東南アジアの市場に強みを持つブラックモアズの取得は、キリンHDが注力する「ヘルスサイエンス事業」を補完すると説明していた。
1932年創業のブラックモアズは、同名ブランドのサプリメントを主力商品としているほか、医療機関用の「バイオシューティカル」、ペット向けの「ポー・バイ・ブラックモアズ」も展開。東南アジアに1973年、中国に2013年から進出した。キリンによると、22/23年度の売上収益のアナリスト予想は6億6,300万豪ドル。このうちオーストラリアとニュージーランドが約45%、中国が約25%、その他の海外が約30%を占める。