連れ添った愛犬も無事 「彼女は私よりはるかに勇敢だった」
ヨットで太平洋単独横断中に遭難、3カ月にわたって漂流していたオーストラリア人男性がメキシコ沖でマグロ漁船に救助され、現地時間の18日、メキシコ西部の港町、マンサ二ージョに上陸した。AP電が報じている。
無事生還したのは、シドニー出身のティモシー・リンゼイ・シャドックさん(54歳)。5月初め、自身のヨットで雌犬のベラとともにメキシコ西部ラ・パスを出航。フランス領ポリネシアを目指して太平洋横断に挑戦した。
しかし、まもなく嵐に襲われて漂流。電源も喪失して調理も不可能となった。シャドックさんとベラは、雨水を飲み、釣った魚を生で食べて飢えをしのいだ。
出発から約3カ月が経った今月、マグロ漁船のヘリが陸から1,930キロ離れた太平洋上でシャドックさんの船を見つけ、飲料水を投下。その後、マグロ船の高速ボートがシャドックさんとベラを救出した。発見時、シャドックさんとベラの様態は危険な状態にあり、船上で手当を受けた。
「たくさんの悪い日があり、良い日もあった。一番の試練だったのは、気力を保ち、無力感に打ち勝つことだった」(シャドックさん)
しかし苦難をともにしたベラとは別れる。
「(出航前に)メキシコのど真ん中で、ベラが私を見つけた。何度も住み家を見つけようと試みたんだけど、私に付いてきて船に乗り込んだ。彼女は私よりもはるかに勇敢だったよ。でも、彼女の故郷はメキシコなんだ」
シャドックさんは、命を救ってくれたマグロ漁船の船員の1人にベラを託し、近くオーストラリアに帰国する。