「日豪関係の深化を示す」とオーストラリア陸軍准将
オーストラリアの公共放送ABC(電子版)は19日、自衛隊が日本の高性能地対艦ミサイル「12式地対艦誘導弾」の発射訓練をオーストラリア沖で行うと報じた。ABCによると、同国の海上で自衛隊が地対艦ミサイルを発射するのは初めてだという。
訓練は21日、南東部ジャービスベイのオーストラリア国防軍基地沖にあるミサイル試験場で実施する予定だ。8月4日まで、同国東部を中心に開催される2年に一度の米豪主催多国間共同訓練「タリスマン・セイバー2023」の一環。同訓練は同盟国や友好国など13カ国から3万人以上の兵士が参加して、過去最大規模で行われる。
12式地対艦誘導弾は、地上の重装輪車両に搭載され、海上の艦船を攻撃するミサイルで、射程距離は約200キロ。三菱重工業が製造し、2012年から陸自に配備されている。
陸自制服組トップの森下泰臣・陸上幕僚長はABCに書面で「タリスマン・セイバーは豪米の共同運用力を高め、自由で開かれたインド太平洋を強化する上で非常に重要だ。オーストラリア海軍と共同で実施する地対艦ミサイルの発射訓練は、オーストラリアと日本の高い信頼をより強めるものだと考えている」(原文は英語)と述べた。
日豪関係は近年、安全保障面での結びつきを強めている。日本が第2次世界大戦の敵国であるオーストラリアの領海でミサイル発射実験を行うことは、戦後78年を経た両国の和解と関係成熟を示す象徴的な出来事となりそうだ。
タリスマン・セイバーのオーストラリア側責任者を務めるダミアン・ヒル陸軍准将はABCに書面で「オーストラリアで日本の自衛隊がこの(兵器の)戦闘能力を試験するのは初めてであり、私たちのパートナーシップがいかに成長し、深まり続けていることを示すものだ」と指摘した。
■ソース
Japan to fire advanced ship-killing missile on Australia’s shores(ABC News)