「依然として労働需給はひっ迫している」と統計局
オーストラリア統計局(ABS)が20日発表した雇用統計によると、5月の失業率は3.5%(季節調整済み)と前月と同じ(発表時の3.6%から今回の統計で3.5%に改訂)だった。就業者数は前月比で3万3,000人増え、失業者は1万1,000人減少した。
ABS雇用統計部門のトップを務めるビヨン・ジャービス氏は声明で「(15歳以上の)総人口に占める就業者の割合は、前月に続き史上最高の64.5%を記録した。労働需給がひっ迫していることを示しており、雇用は人口増加に合わせて伸びている」と指摘した。
同氏によると、雇用者数は新型コロナ感染拡大前と比べて100万人以上拡大しており、15歳以上の総人口に占める就業者の割合は2020年3月から2.1ポイント上昇している。
オーストラリアでは、高いインフレと急激な利上げの影響で、ぜいたく品を中心に個人消費が冷え込みつつある。消費者マインドもリーマンショック時やコロナ感染拡大初期の水準まで落ち込んでいる。
しかし、労働市場が依然として力強い状態が続いていることが確認された。公共放送ABC(電子版)によると、事前の市場予想は、失業率が3.6%、新規就業者数が1万5,000人だった。いずれも予想より良い結果となった。
このため、足元の景気はそれほど悪化していない可能性がある。中央銀行の豪準備銀(RBA)が8月1日に開く次回の理事会で、もう一段の利上げに踏み切るか、7月に続いて4.10%で据え置くかが焦点となる。
金利の動向を見極める上で重要なカギとなるのは、ABSが来週25日に発表する4〜6月期の消費者物価指数(CPI)だ。前年同期比の上昇率は、ウェストパックが6.3%、RBAが6.25%、ナショナル・オーストラリア銀が6.1%と予測。実際の数字が大きく上振れすれば、8月の追加利上げを予測する市場参加者も増えそうだ。
■ソース
Unemployment rate at 3.5 per cent in June, Media Release(Australian Bureau of Statistics)
Jobless rate posts surprise fall as 33,000 more people find work(ABC News)