コロナ禍で観光業従事者の多くが離職
中国政府は10日、新型コロナウイルス感染拡大以降に禁止していたオーストラリアや日本、韓国、米国などへの団体旅行客の渡航を再開した。コロナ禍前はオーストラリアの外国人観光市場にとって最大の顧客だった中国人のツアー旅行が解禁されたことで、現地の観光業界では期待が高まっているが、受け入れ余力が不足しているとの懸念も出ている。
公共放送ABC(電子版)によると、メルボルンの旅行会社「オディシー・トラベル」を営むクリスティーン・ザン取締役社長は、中国ツアー客の渡航再開について「喜ばしいニュースだ」と述べた上で、次のように述べた。
「コロナ禍によって、私たちはたくさんの観光客送迎用の車両を売却し、多くの従業員も失ってしまいました。彼らは新しい職種で仕事を初めていますので、戻ってくる可能性は低い。(業績の)回復は非常にゆっくりとしたものになるでしょう」
ザン氏は以前、中国人のインバウンド観光客を多く扱っていたが、コロナ禍以降、事業の主体をより安全で安定的な国内市場に移したという。
観光業に詳しいイーディス・カウアン大学(西オーストラリア州パース)のサム・ファン教授もABCに厳しい見方を示した。
「オーストラリアの観光業界は(コロナ禍で)大きな打撃を受けました。感染拡大の影響で観光業界を離れてしまった人たちを呼び戻すのは難しく、人手不足の状況にあります。中国人観光客にサービスを提供できるだけの余力を取り戻すまでには、ある程度の時間がかかるかもしれません」(ファン教授)
■ソース
Concerns tourism industry not ready as Chinese group tours allowed to return to Australia(ABC News)