祝日賃金は最大2.5倍 中小事業者からは反対の声も
サッカー女子ワールドカップ(W杯)開催国オーストラリアの代表「マティルダズ」が12日、男女史上初のベスト4進出を決めたことを受けて、優勝した場合は、国を挙げて祝賀するために一度限りの祝日を設ける案が浮上している。
14日付の公共放送ABC(電子版)によると、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は先週の時点で、16日の準決勝に勝ち上がった場合、同日開かれる連邦・州首相会議の席で、各州・準州の代表(州首相または首席代表)に祝日化を要請する考えを示した。
オーストラリアで国民の祝日に定められているのは、元日や建国記念日に相当する「オーストラリア・デイ」(1月26日)、クリスマス・デイ(12月25日)など1年のうち7日だけ。その他の祝日を決める権限は各州・準州政府にあるため、中央政府のアルバニージー首相は非公式な要請として祝日化を州首相らに働きかける意向だ。
これを受けて、決勝戦の舞台となる東部ニューサウスウェールズ州のクリス・ミンズ州首相も、祝日化に賛同する考えを明らかにした。ミンズ州首相は、16日の連邦・州首相会議で「祝日の適切な日付を他の州・準州政府、連邦政府と相談したい」と表明した。優勝した場合の祝日は、この日に決まる可能性がある。
ただ、誰もが祝日化に賛成しているわけではない。ABCによると、中小事業者からは反対意見も出ているという。オーストラリアの労使協定では、雇用主は祝日に働いた従業員に最大で基本給の2.5倍(職種や雇用形態によって異なる)の賃金を支払う義務があるからだ。飲食店などはマティルダズ特需が期待できる反面、祝日が1日増えれば人件費の負担が経営を苦しめかねない。
いずれにしても、マティルダズは栄冠まであと2勝だ。強豪イングランドとの準決勝は16日午後8時、シドニーのスタジアム・オーストラリアでキックオフ。これを突破すれば、20日午後8時開始の決勝戦(同スタジアム)で、スペイン対スウェーデンの準決勝(15日)の勝者と世界の頂点をかけて対決する。
(時刻はオーストラリア東部標準時)