利上げ打ち止め、いよいよ濃厚に
オーストラリア統計局(ABS)が17日発表した7月の雇用統計によると、失業率は0.2ポイント上昇して3.7%(季節調整済み)となった。就業者数は前月比で1万4,600人減少、失業者数は3万5,600人増加した。
オーストラリアの失業率は2022年3月以来、3%台で推移しており、ABSの記録が残る1978年2月以降で最も低い水準にある。ABS雇用統計部門のトップを務めるビヨン・ジャービス氏によると、「労働市場は引き続きタイト」(需給がひっ迫している)な状態にあるという。
ジャービス氏は声明で「失業者の総数は54万1,000人に増加したが、それでもコロナ前より17万2,000人少ない。人口に占める就業者の割合は0.2ポイント、労働参加率は0.1ポイントそれぞれ前月比で低下したが、いずれもコロナ前の水準を大幅に上回っており、5月に記録した市場最高値に近い水準にある」と述べた。
「追加利上げに正当性ない」とエコノミスト
それでも統計データは事前予想より悪く、今後予測されている景気減速を示唆するものとなった。ロイター通信によると、市場予想の平均値は就業者数1万5,000人増、失業率3.6%だった。
雇用情勢が想定よりもやや悪化していることが確認されたことで、中央銀行・豪準備銀(RBA)が利上げを打ち止めにするとの期待が高まっている。失業率の上昇は景気を減速させ、インフレ圧力を抑え、追加利上げの必要性を弱めることにつながるからだ。そのため、雇用情勢の悪化は、高金利に苦しんでいる住宅ローン債務者や事業者にとってはむしろ良いニュースとなる。
オーストラリア金融大手AMPのダイアナ・ムシナ副主席エコノミストは公共放送ABCに次のように述べた。
「今日のデータを見れば、賃金の急上昇や労働市場の著しいひっ迫は起きていない。追加利上げに正当な根拠はない。今後、再利上げのリスクがないわけではないが、RBAは金利を現行の4.1%で据え置き、来年に利下げに転じる。それが最も可能性の高いシナリオだろう」
RBAの予測によると、失業率は年末に3.9%まで悪化する見通しだ。
■ソース
Unemployment rate rises to 3.7 per cent in July(Australian Bureau of Statistics)
Economist says another interest rate rise would be ‘hard to justify’ now(ABC News)