2024年第1四半期に最初の利下げか
中央銀行・豪準備銀(RBA)は6日、金融政策を決める月次の会合を開き、政策金利を4.10%で据え置くと発表した。これが、今回の金融引き締めサイクルでのターミナルレート(上限、到達点)になるとの観測が強まっている。
据え置きは7月以降3会合連続。インフレが沈静化していることに加え、昨年5月以降の急激な利上げが家計や個人消費に影を落としつつあることや、最大の輸出先である中国の景気に不透明感が漂っていることから、金融引き締めのアクセルを踏み込まなかった。
RBAは2022年5月から今年6月までの13会合のうち12会合で利上げを行い、政策金利を0.10%から4.0ポイント引き上げていた。一方、消費者物価指数(CPI)は依然として目標の2〜3%から大きく上振れしているものの、22年12月に峠を越え、鈍化傾向が鮮明になっている。前例のない激しいペースの利上げが功を奏した形だ。
RBAのフィリップ・ロウ総裁はオーストラリア経済の現状について「インフレは収まりつつある。労働市場は引き続き力強い状態にある。成長スピードはスローダウンしているものの、経済は高い稼働率を維持している」と述べた。その上で同総裁は「多くの世帯は(インフレと高金利で)家計のやりくりに苦しんでおり、個人消費の見通しには不透明感が漂っている。現在進行している不動産市場の緊張を背景に中国経済の先行きも不安が増している」と景気減速のリスクを指摘した。
「中銀は引き締め効果に満足している」
今後の金融政策について同総裁は「妥当な時間軸の中で確実にインフレ目標(2〜3%)に戻すためには、さらなる金融引き締め(単数)が必要となるかもしれないが、引き続き経済と物価の動向に左右される」と語り、4会合連続でほぼ同じ文言をリピート。今後の利上げの可能性を排除しなかったが、市場参加者の間ではこれで利上げは打ち止めになるとの声が出ている。
コモンウェルス銀は同日、顧客向けの短信リポートで「RBAは高い金利が(インフレ抑制に)効果を挙げていることに手応えを感じていて、追加利上げのハードルは高い」と解説。その上で「政策金利は4.10%のまま据え置かれ、次の一手は利下げになる」と予測し、24年1〜3月期に最初に利下げがあるとの見方を示した。
なお、この日の理事会はロウ総裁にとって最後の表舞台となった。今月、1期7年の任期を終えるロウ氏は、オーストラリアで女性初の中銀総裁となるミシェル・ブロック氏(現副総裁)にバトンを渡す。
■ソース
Statement by Philip Lowe, Governor: Monetary Policy Decision(Reserve Bank of Australia)