予定より2カ月前倒し ハドソン氏が女性初のトップに
オーストラリアの航空最大手、カンタス航空は5日、アラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)が予定より2カ月早く退任すると発表した。次期CEOに決まっていたベネッサ・ハドソン最高執行責任者(COO)が6日、同社の103年間の歴史で初の女性トップに就任した。
ジョイス氏は11月に退任してハドソン氏に道を譲ることが決まっていたが、キャンセルしたフライトの航空券を不正に販売していた疑惑が浮上。ジョイス氏は8月28日に開かれた連邦上院の公聴会に出席し、「国民を欺いた」として厳しい批判にさらされていた。
これを受けて、公正取引委員会に相当する規制当局「オーストラリア競争消費者委員会」(ACCC)は8月31日、消費者を欺く虚偽の商取引を行った疑いで、連邦裁判所にカンタスを提訴した。ACCCはカンタスが「2022年5月〜7月、既にキャンセルした8,000便以上のチケットの販売を続けていた」と断定。同期間に発着する予定だった1万便以上のチケット購入者に対し、キャンセルの通知を故意に遅らせたとも主張している。
ACCCによると、これらの不正行為によって数万人が旅行日程の変更を余儀なくされ、より高い代替便の航空券の購入を強いられるなどの不利益を被ったという。
オーストラリアの航空業界ではこの時期、コロナ禍のロックダウンからの急激な経済再開に伴い、人手不足やサプライチェーンの混乱などから、フライトのキャンセルや大幅な遅延、預け入れ荷物の紛失などのトラブルが頻発して社会問題となっていた。
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