「ぜんそくなどの人は外出控えて」と消防隊
オーストラリア東部シドニーでは11日、青いはずの空が濃い煙に包まれた朝を迎えた。これから迎える夏の山火事シーズンに向け、シドニー平野の南西と北に位置する森林で週末、山火事を未然に防ぐための計画的な「火入れ」が行われ、大量の煙が風に乗って流れ込んだためだ。
公共放送ABC(電子版)によると、シドニーの西郊と東郊では大気汚染の度合いを示す「空気質指数」(AQI)が著しく悪化した。ニューサウスウェールズ州消防隊によると、週の中ごろまで大気が煙たい状況は続く見通しだという。消防隊はぜんそくや肺の持病を抱えている人にしばらく野外での活動を控えるよう呼びかけている。
オーストラリア東部では、多雨をもたらすラニーニャ現象が昨夏まで異例の3シーズン連続で発生し、洪水こそ頻発したものの、大規模な森林火災の危険からは遠ざかっていた。しかし、今夏は干ばつと高温を引き起こすエルニーニョ現象の再来が確実視されていることから、地元ニューサウスウェールズ州や消防当局は警戒を強めている。
同州のクリス・ミンズ州首相は「予防のために火入れが必要なエリアのうち、私たちはまだ26%しか焼いていません。煙は申し訳ないけれども、山火事が近所を吹き荒れるよりはるかにましです」と述べ、計画的に森を燃やす必要性を訴えた。
「秋から冬にかけては非常に雨が多かったので、火入れがあまりできませんでした。暑く乾燥した、より危険な天候が訪れる前に焼き終える必要があるのです」(ミンズ州首相)
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