20日のシドニーは34度の予報 60年ぶり記録更新も
南半球の冬(6〜8月)が終わったばかりのオーストラリア東部シドニーで連日、真夏の陽気が続いている。豪気象局(BOM)シドニー観測所(オブサベートリー・ヒル)の温度計は16日午後、摂氏31.8度まで上昇した。BOMの予報によると、最高気温は20日まで5日連続で30度を超える見通しだ。
シドニーの9月の平均最高気温は20.1度。日本のようにはっきりとした四季がなく、気温の振れが激しいオーストラリアでも、平年を10度以上も上回る陽気がこれだけ続くのは珍しい。
今回の高温のピークとなるのは20日。内陸から熱風が吹き込むため、BOMは最高気温が34度に達すると予測している。1965年9月26日に記録した9月の最高気温記録34.6度を58年ぶりに更新するかもしれない。
原因はジェット気流が分岐する「ブロッキング」現象
16日付の公共放送ABC(電子版)によると、異例の高温が持続している理由は、東方のタスマン海(オーストラリアとニュージーランドの間にある海域)に、高気圧が居座っていることにあるという。
高気圧と前線が数日おきに西から東へ交互に通過するのが、オーストラリア東部の典型的な春の気象パターンだ。しかし、ここ数日は東海上の高気圧がほとんど停滞していて、南海上の寒冷前線が接近するのを阻止しているため、真夏並みの高温をもたらしている。
では、高気圧が動いていないのはなぜか?それは、先週前半からジェット気流(中緯度帯の高度1万メートル付近を流れる強い偏西風)が南北へ2つに分岐しているからだという。1つは北東部クイーンズランド州沖の珊瑚海へ、1つは南部タスマニア島へと蛇行しているため、シドニーなど東部から南東部にかけてのエリアで偏西風が弱まり、高気圧の動きが止まっている。
この現象は、偏西風に乗って東へ移動する高気圧を同じ場所に停滞させるため、気象学で「ブロッキング」(diffluent block)と定義される。「静かな嵐」とも呼ばれ、異常気象の原因とされる。
ただ、異常な高温も永遠に続くわけではない。ビーチで季節外れの夏を楽しめるのは20日の水曜日まで。21日には冷たい南風に変わり、最高気温は24度と前日から10度低下。22日には20度と平年並みに戻る見通しだ。
■ソース
Sydney Forecast(Bureau of Meteorology, Australian Government)