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庶民の味方、鶏肉が高値の花に!? オーストラリアでチキン価格上昇、1年半で15%高く

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安価&ヘルシーで1人当たり消費は過去60年で12倍に伸びたけど…

 オーストラリアの鶏肉生産大手インガムズ・グループの従業員約1,000人が22日、同社の南オーストラリア州と西オーストラリア州の工場で、今後3年間で18%の賃上げを要求して24時間ストライキを決行した。地元メディアによると、今のところ、組合側が警告した鶏肉の供給不足は起こっていないようだ。

 報道によると、インガムズが鶏肉を供給しているケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は不測の事態に備えて対応し、同社の広報担当者は「私たちの飲食店の鶏肉の供給には影響は出ていない」と述べた。

 ただ、インガムズの従業員が所属する労働組合は要求が受け入れなければさらなるストも辞さないとしている。鶏肉の供給をめぐる懸念が尾を引くとともに、同社が賃上げを受け入れた場合、ただでさえ高騰している鶏肉の価格に転嫁される可能性もありそうだ。

オーストラリアの鶏肉、牛肉、豚肉、羊肉の1人当たり消費量の推移(出典:Australian Chicken Meat Fedration)

 オーストラリアでは過去数十年にわたり、鶏肉は安価で健康的な動物性たんぱく源として需要が高まってきた。生産者団体のオーストラリア鶏肉連盟(ACMF)によると、国民1人当たりの鶏肉消費量は1961年に4.2キロだったが、2022/23年度には50.1キロと60年で12倍に増えている。

鶏肉を食べる理由についての世論調査結果(複数回答=出典:Australian Chicken Meat Fedration)

 オーストラリア国民が鶏肉をより食べるようになった理由としては、他の畜肉より低価格であることがあるようだ。ACMFの調査結果(2019年)によると、「鶏肉を食べる理由は?」との問い(複数回答)に対して、最も多かった回答は「他の肉よりも安い」で全体の59%を占めた。この割合は08年の前回調査の42%から17ポイント上昇している。





 例えば、スーパー大手ウールワースの鶏もも肉の価格(23日時点)は1キロ当たり13豪ドル(約1240円)と標準的な牛肉(ランプステーキ)の32豪ドルと比べて手ごろな価格となっている。

オーストラリアの鶏肉価格の推移(グラフ作成:©守屋太郎)

 だが、近年の激しいインフレは、庶民の味方である鶏肉の価格も押し上げている。オーストラリア統計局(ABS)の物価統計によると、鶏肉価格は22年10月-12月期に前年同期比11.6%上昇した。ピークは過ぎたものの、直近4月-6月期も同7.9%の上昇と消費者物価指数(CPI)総合の水準を上回る上昇が続いている。

 鶏肉の価格指数は、21年12月の105.6(2011/12年度=100)の底値から、直近23年4月-6月期は121.9と1年半で15.3%も上昇している。

 庶民の味方だった鶏肉が高値の花となる日も近いのかもしれない。

■ソース

Inghams workers warn of further strike action amid fears of chicken shortage(9news)

Consumer Price Index, Australia(Australian Bureau of Statistics)





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