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ガザ地上侵攻迫る中、シドニーで親パレスチナ集会 6,000人参加、平和裏に開催

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州警察1,000人動員 逮捕者や負傷者はゼロ

パレスチナの旗を掲げる集会参加者=15日、シドニー中心部ハイド・パーク(Photo: 守屋太郎)

 「フリー・パレスタイン!」(パレスチナを解放せよ)、「ガザの虐殺を止めろ!」――。イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への地上侵攻が迫る中、親パレスチナ派の叫びが初夏の青空に響き渡った。

 オーストラリア東部シドニー中心部ハイド・パークで15日午後、パレスチナ解放を訴える団体主催の集会が開かれ、約6,000人(公共放送ABC)が参加した。集会は平和裏に開かれ、特に混乱は見られなかった。ABCによると逮捕者や負傷者はなかった。

 シドニーでパレスチナ支持派が大規模集会を開くのは、ガザを実効支配するイスラム武装勢力ハマスによるイスラエルへのテロ攻撃(7日)以来2回目。9日に同じ団体がシドニーで主催したデモ行進では、地元ニューサウスウェールズ州政府がテロ犠牲者を追悼するためイスラエル国旗の青と白でライトアップしたシドニー・オペラ・ハウスの前で、一部の参加者が発煙筒や花火を投げつけたたり、ユダヤ人に罵声を浴びせる騒ぎがあった。

 ユダヤ人への差別的な言動を問題視した同州政府は、15日に計画されたデモ行進を許可せず、公園内での非公式な集会に格下げされた。この日は、シドニー地域全体で約1,000人(ABC)の警官隊を配備。厳戒態勢の下、集会の主催者は、ハマスの旗を掲げること、イスラエル国旗を焼くこと、反ユダヤ主義的な言動などを禁止し、平和的な行動を訴えた。

 パレスチナの旗をフェイスペインティングした子どもも見守る中、集会ではイスラエルによるパレスチナ占領に反対するユダヤ人も演説を行うなど、民族間の憎悪を煽らない演出が見て取れた。

「抵抗は正当化される」とテロを暗に擁護

 それでも、演説したグループの1人は「1948年(イスラエル建国)以来75年間のパレスチナ占領と虐殺に対する抵抗は、正当化される」と述べ、ハマスによるテロ攻撃と民間人の殺害や誘拐を暗に擁護した。別の演説者は「イスラエルによるパレスチナ占領が問題の元凶だ」と声を上げ、喝采を浴びた。

 また、主催者の1人は、イスラエルのパレスチナ占領と、欧州人によるオーストラリアへの「侵略」を同列に論じ、「植民地主義者による占領から、パレスチナ人とアボリジナル(オーストラリア先住民)を解放せよ」と訴えた。

 参加者は在豪パレスチナ人と同調する他のアラブ系市民が大半だった。左派政党「グリーンズ」(緑の党)の関係者は散見されたものの、同様の集会に多い労働組合員や社会主義活動家の姿はほとんど見られなかった。これら左寄りの欧州系オーストラリア人は、ハマスによる残虐なテロ攻撃から距離を置いている様子がうかがえた。

 血を血で洗う復讐の連鎖が止まらないパレスチナ情勢。イスラエル軍がガザ地区北部の住民に要請した24時間の退避期限が切れ、多数の民間人の犠牲が予想される地上侵攻が秒読みとなる中、主催者は21日土曜日に次の集会をシドニー・タウンホール(市公会堂)で開催すると宣言し、約2時間の集会は閉幕した。

 今回は平和裏に幕を閉じたが、戦況によっては、運動が再び過激化する事態も予想される。

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