予想よりインフレ上振れなら危険信号
高いインフレと激しい利上げの副作用による経済成長の鈍化が今後、予想される中、オーストラリアの9月の失業率は前月比0.1ポイント減の3.6%と歴史的な低水準を維持した。失業率の低下は普通、良いニュースだが、高いインフレ下での労働需給のひっ迫は、人件費やサービス価格のさらなる上昇圧力となる。ようやく沈静化してきたインフレに油を注ぎかねない。一方、中銀の思い通りにインフレが低下していないとの見方もあり、追加利上げの観測も再浮上している。いったんストップしていた利上げが再開すれば、消費の冷え込みと景気減速を加速させる恐れもある。
ナショナル・オーストラリア銀のブロディー・バイニー上級エコノミストが公共放送ABC(電子版)に語ったところよると、中央銀行の豪準備銀(RBA)は11月7日に開く次回の理事会で、5会合ぶりに追加利上げに踏み切る可能性があるという。ABSが25日に発表する7〜9月期の消費者物価指数(CPI)統計の数字がカギを握るとしている。
RBAは2022年5月以降、今年6月までの13会合で12回利上げを行い、政策金利を4.10%まで引き上げた。しかし、7月以降は4会合連続で金利を据え置いている。金融市場では、これで金融引き締めは完了との認識が広がっていたが、バイニー氏は少なくとも年内にもう一度、利上げがあり得ると予測している。
「RBAは依然として高いインフレと、今日の(雇用統計)で示された労働市場のひっ迫を注視している。これまでの金融引き締めがインフレを目標(2〜3%)まで下げるのに十分だったのか? それを確信できるかどかが、RBAにとって一番の心配事だ。RBAは10月の理事会の議事録で、低下しないインフレを容赦しない姿勢を示した。私たちは、来週のCPI上昇率がサプライズで上振れすると予想している。そうなれば、RBAはもう一度、利上げに踏み切らざるを得ないだろう」(バイニー氏)
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