州政府は前日に許可
オーストラリア東部シドニーの中心部で21日、パレスチナ解放を求めるグループが主催するデモ行進が行われた。オーストラリアの公共放送ABC(電子版)によると約9,000人が参加。イスラエル軍による空爆が続き、地上侵攻の可能性も高まっているパレスチナ自治区ガザ地区での即時停戦などを訴えた。
集会は午後1時から市内中心部のタウンホール(シドニー市公会堂)前の広場で始まった。参加者は赤、白、緑のパレスチナの旗や「パレスチナに自由を」と書かれたプラカードを掲げ、「(アンソニー・)アルバニージー(連邦首相)は虐殺を支持している。アルバニージーは恥を知れ」などと連呼した。この後、市内南部ベルモア公園までの約1.5キロを行進した。
パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配する武装組織ハマスによるイスラエルへの大規模なロケット弾発射や民間人へのテロ攻撃(7日)以降の約2週間で、シドニーで親パレスチナ派の集会が開かれたのは3回目。9日のデモ行進では、ハマスによる攻撃の犠牲者を追悼するため地元ニューサウスウェールズ州政府がイスラエル国旗色でライトアップしたシドニー・オペラ・ハウスに向け、一部の参加者が発煙筒や花火を投げつけたり、ユダヤ人に差別的な罵声を浴びせたりする騒ぎがあった。
このため、州政府は15日に同じグループが計画した2回目のデモ行進を許可せず、公園内でのスピーチに限定した非公式な集会となったが、シドニー地域全体で約1,000人の警官隊が警戒する中、約6,000人(ABC)が参加した。21日のデモ行進は、暴力やヘイトスピーチを絶対に許さないとの厳しい条件の下で、州政府が前日になってようやく許可していた。主催者はこれまでの集会と同様、ハマスの旗の掲揚や反ユダヤ主義的な言動など民族対立を煽る行動を禁止した。
オーストラリアではこの日、北東部ブリスベン、西部パース、南部ホバートなどでも親パレスチナ派のデモ行進や集会が開かれた。
ABCによると、7日以降の衝突ではこれまで、パレスチナ側に4,137人以上、イスラエル側に1,400人以上の犠牲者が出ている。