明日発表の7〜9月期CPI統計次第でサプライズも
オーストラリア統計局(ABS)は25日、7〜9月期消費者物価指数(CPI)の統計を発表する。インフレの動向を見ながら、中央銀行の豪準備銀(RBA)は11月7日に開く次回理事会で、4会合連続で据え置いていた政策金利(現行4.10%)を引き上げるかどうかを判断する。
第1週の火曜日に開かれるRBA理事会は毎年、11月第1週火曜日に開催されるオーストラリア競馬最大の重賞レース「メルボルン・カップ」と重なる。オーストラリア中のオフィスでは毎年、仕事そっちのけで馬券が飛び交い、同僚の間で掛け金を集めて本来は違法な私的な賭博も公然と行われたり、昼間から酒を飲んだりと、この日ばかりは無礼講の「どんちゃん騒ぎ」となる。
しかし、既に高金利下で国民が疲弊している中で5会合ぶりの再利上げとなれば、お祭りムードに水を差すのは間違いない。
11月の利上げ確率は急上昇
9月にRBAの新総裁に就任したミシェル・ブロック氏は24日、公的な場での初のスピーチで、高いインフレが想定より長引いた場合、再利上げを排除しない考えを明確にした。粘着力の強いインフレを撃退する姿勢を改めて示した格好だ。
ブロック総裁はこの日の夜、シドニーで開かれたコモンウェルス銀主催の会合で「現時点の政策金利の水準の下で、妥当な時間軸でインフレが目標(2〜3%)に戻せる可能性はあるが、インフレ低下が現在の予測よりも遅くなるリスクもある」と指摘した。その上で総裁は「もし、インフレ見通しが上方修正される場合、理事会は躊躇することなく追加利上げに踏み切る」と言明した。
ロイター通信(24日付)が伝えた7〜9月CPI上昇率の市場予想は、前期比1.0%、前年同期比5.3%。市場はインフレがサプライズで上振れする可能性もあると見ている。
このため、オーストラリア証券取引所(ASX)が金利先物の値動きを元に算出している「RBA金利指標」によると、「RBAが政策金利を0.25ポイント引き上げて4.35%とする確率」は今月初めの3%から23日に23%まで上昇している。依然としてメインシナリオは据え置きだが、25日のCPI統計次第では追加利上げも十分にあり得そうだ。
■ソース
Australia c.bank sees risks on inflation, will not hesitate on rates(Reuters)