英・伊は減少傾向 印・中・ネパールが急増
オーストラリア統計局(ABS)がこのほど発表した出生国・地域別の人口統計によると、海外で生まれた人が全人口(外国籍を含む)に占める比率は、2022年6月30日時点で29.5%だった。国境再開の影響で前年比0.2%上昇した。海外生まれの割合は20年に29.9%と20世紀以降で最高を記録していたが、コロナ禍の国境封鎖を背景に21年に29.3%まで低下していた。
同日時点の総人口約2,601万人(前年比約32万人増)のうち、オーストラリアで生まれた人は約1,833万人(約17万人増)、海外出生者は約768万人(約15万人増)だった。
出生国・地域別で最も多かったのは、旧宗主国の英国(96万1,370人)で全人口の3.7%を占めた。2位以下はインド(75万3,520人=2.9%)、中国本土(59万7,440人=2.3%)、隣国のニュージーランド(58万6,020人=2.3%)、フィリピン(32万300人=1.2%)などの順に多い。
10年前の12年と比較すると、英国生まれの人は4万3,150人減少した一方、インドは39万8,140人増、中国本土は19万1,050人増と大幅に伸びた。
ネパール生まれの人は15万1,140人と10位に付けた。12年比の増加数は12万410人とインド、中国に次いで3番目に多くなっている。出生者数上位10カ国・地域の平均年齢(中央値)を見ると、ネパールは29歳と最も低い。ネパールからの移民や留学生が、若年層を中心に急増していることがうかがえる。
一方、イタリア(16万1,560人=9位)の平均年齢は73歳と最も高かった。イタリア移民は第2次世界大戦後に急増したが、それからおよそ60年以上が経ち、高齢化が進行している。
なお、外国生まれの人の総数を国・地域別で比較すると、オーストラリアは世界9位(約767万人=20年の統計)。海外出生者が総人口に占める割合は29.9%=同年)となっていて、同じ英語圏の移民国家である米国(15.3%)やカナダ(21.3%)と比べて高い。アラブ首長国連邦(88.1%)やクウェート(72.8%)など外国人出稼ぎ労働者が極端に多い中東諸国を除くと、オーストラリアの外国生まれの人の割合は世界でも最も高い水準となっている。
■ソース
Australia’s Population by Country of Birth(Australian Bureau of Statistics)