粘着力強いインフレの再燃に警戒
オーストラリアの中央銀行、豪準備銀(RBA)は7日、金融政策を決める月例の理事会を開く。政策金利を現行4.10%で据え置くか、0.25ポイント引き上げて4.35%とするか。同日午後2時30分に発表する。オーストラリアの景気や生活の先行きを占う上で重要な決断となる。
ウェストパック銀は、5会合ぶりの利上げがあると予測している。同銀は3日発表の短信リポートで「第3四半期(7〜9月)の消費者物価指数(CPI)統計では、RBAが望む速さでインフレが鈍化していないことが示された」と述べ、物価目標(2〜3%)に戻るまでの時間が長期化するリスクを指摘した。大幅な人口増に対する供給不足や個人消費が底堅いことも、利上げを促す要因になるとした。
コモンウェルス銀も6日のリポートで「第3四半期CPIがサプライズで上振れしたことは11月利上げのきっかけになる」と0.25ポイント引き上げを想定している。
一方、金利先物価格から算出されるオーストラリア証券取引所(ASX)の政策金利指標(3日の取引終了時点)によると、「据え置き」の可能性は50%、「4.35%に引き上げ」は50%と拮抗している。
RBAは2022年5月から今年6月までに、政策金利を累計4.0 ポイント引き上げて4.10%とした。7月以降は4会合連続で据え置いていた。市場ではこれで利上げは打ち止めとの観測が広がっていた。
しかし、10月25日発表の7〜9月期CPIが予測より上振れするなど、ここにきてインフレ圧力のしつこさが再認識されている。RBAのミシェル・バロック総裁も10月24日のスピーチで「インフレ見通しが上方修正される場合、理事会は躊躇することなく追加利上げに踏み切る」とタカ派(金融引き締めに積極的)寄りのトーンを強めていた。
なお、この日は伝統的な競馬の重賞レースでオーストラリア中がお祭り騒ぎとなる。金融政策発表から30分後の午後3時、ビクトリア州フレミントン競馬場第7レース「メルボルン・カップ」(芝3,200メートル=毎年11月の第1火曜日)が、24頭が出走して行われる。
ギャンブル大手「TAB」によると、6日午後6時過ぎの時点のオッズは、単勝(Win)の一番人気が「5.ヴォーバン」(Vauban)で4.6倍。「3.ウィズアウト・ア・ファイト」(Without a Fight)が7.0倍、「1.ゴールド・トリップ」(Gold Trio)が7.5倍でこれに続いている。
■ソース
AUSTRALIA & NEW ZEALAND WEEKLY, Week beginning 6 November 2023(Westpac Institutional Bank)
Economics Daily Alert, 06/11/2023(Commonwealth Bank of Australia)