用途は救急や災害救助など 5人乗りで航続距離1,000キロ目指す
オーストラリアのクリス・ボウエン連邦気候変動・エネルギー相はこのほど、再エネだけで精製した「グリーン水素」を使い、燃料電池で推進する小型の垂直離着陸機(VTOL機)の開発を支援すると発表した。オーストラリア再生可能エネルギー局を通し、スタートアップ企業に総開発費の50%に当たる543万豪ドル(約5億2,000万円)を拠出する。
政府が開発を支援するのは、シドニー郊外バンクスタウン空港に拠点を置く「AMSLエアロ」のVTOL機「バーティア」(Vertiia)。5人乗りで1,000キロの航続距離を目指す。救急や救命、災害救助、国防、遠隔地の空の移動などの用途を想定している。
海外でも開発が進む「空飛ぶクルマ」や電動の「eVTOL機」と呼ばれる機体の一種だが、水素由来の燃料電池の電力で推進するのが最大の特徴だ。8つのプロペラを可動させることで、離着陸時はヘリコプターのように上下に移動し、巡航時は固定翼機のように高速性と長い航続距離を実現する。
AMSLはすでに通常型の電池で推進する試作機の飛行に成功している。これに水素を使った燃料電池を搭載することで、通常のeVTOL機よりはるかに長い航続距離を達成する計画だ。
ボウエン気候変動相は声明で「自然災害がより頻繁に発生する中で、AMSLの機体は救急隊員にとって重要な移動手段となるだろう。グリーン水素や他の持続可能な航空燃料は、世界の温室効果ガス排出量の2.5%を占める航空部門の脱炭素化に不可欠だ」と述べた。
■ソース
Government backs futuristic aircraft to run on hydrogen, Media Release(The Hon Chris Bowen MP
Minister for Climate Change and Energy)