生息数は1万2,000頭以下まで減少
オーストラリアのタニヤ・プリバーセック連邦環境・水資源相は14日、南オーストラリア州に生息している絶滅危惧種のオーストラリア・アシカ(英語名:Australian sea lion、学名:Neophoca cinerea)を保護するため、40万豪ドル(約3,900万円)の予算を拠出すると発表した。南オーストラリア州環境省と共同で、保護に必要な生態調査に取り組む。
オーストラリア・アシカは、南オーストラリア州から西オーストラリア州にかけて分布するオーストラリア固有種。連邦政府によると、個体数は過去30年間で減少していて、現時点で1万2,000頭以下まで縮小。国の法律で絶滅危惧種に指定されている。
このため、政府は新たに立ち上げた「オーストラリア・アシカ全国再生計画」に資金を投入する。カメラやドローン、ヘリコプターを使って生態を監視し、アシカの保護と再生に役立てる。
南オーストラリア州のカンガルー島にあるシール湾には、オーストラリア・アシカの有数の群生地がある。同州政府はこれまで20年間、生後3〜4カ月の幼獣にマイクロチップを埋め込み、この湾に住む個体の生息数や繁殖の実態を調査してきた。
プリバーセック連邦環境相は次のように述べた。
「アシカは気候変動や海洋汚染など様々な重圧を受けて、脅威にさらされています。今回の予算拠出によって、種を保護し可能な限り(以前の状態に)回復させるために、科学者の知見を引き出します。貴重な絶滅危惧種を保護することで、私たちの子どもや孫により良い自然環境を残したい」
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