生活費高騰も前年比3%増の見通し
オーストラリアの小売店やネットショップでは24日、ブラックフライデーの安売りセールが始まり、クリスマス商戦の火蓋が切って落とされる。オーストラリア小売業協会(ARA)が調査会社ロイ・モーガンと共同で実施した調査によると、ブラックフライデーの24日から週末を挟んだサイバーマンデーの26日までの4日間の全国の小売売上高は、63億6,000万豪ドル(約6,200億円)となる見通し。高いインフレで消費者が財布の紐を締めているにもかかわらず、昨年の実績を3.0%上回り、過去最高を記録しそうだという。
ARAのポール・ザラ代表は声明で「生活コスト高騰の危機に引き続き見舞われている中で、(小売業者にとって)ブラックフライデーとサイバーマンデーの重要性はかつてないほど増している。クリスマス前の消費意欲が弱まると予想されているにもかかわらず、今年のブラックフライデー商戦は記録を更新すると見られる。消費者は厳しい財政的な圧力の中で格安のバーゲン品を求めている」と述べた。
ARAとロイ・モーガンは、11月から12月24日のクリスマス・イブまでの年末商戦全体の売上高を前年比0.6%増の671億豪ドル(約6兆6,000億円)と推計している。
オーストラリア統計局(ABS)の月間消費者物価指数(CPI)指標によると、9月のCPI上昇率は前年同月比5.6%。インフレは22年12月にピークアウトしたものの、依然として高止まりしている。予測の通り、年末商戦の売上高が名目で昨年を超えたとしても、物価上昇分を考慮した実質では前年を下回ることになりそうだ。
高いインフレに加え、急激な利上げによる住宅ローン支払い額増加も追い打ちをかけて倹約志向が強まっており、個人消費は冷え込みつつある。1年で最も消費が活発となる約1カ月間の消費動向は、下り坂に向かいつつある今後の景気を占う上で試金石となる。
■ソース