豪中関係改善の動きも、海の覇権めぐりせめぎ合い
台湾国防部の「軍事新聞通訊社」は24日、オーストラリアの艦船が23日に台湾海峡を北から南へ航行したと報じた。台湾軍が監視し、状況は正常だったとしている。艦名は明らかにしなかったが、オーストラリアの公共放送ABC(電子版=24日付)は、同国海軍のアンザック級フリゲート艦「HMASトゥウーンバ」と見られると伝えた。
米国とオーストラリアの艦船は、これまでも定期的に台湾海峡の公海を通過しているが、中国政府は地域の緊張を高めているとして批判してきた。
トゥウーンバは、東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)内で14日、中国人民解放軍の攻撃艦「DDG-139」からソナーの音波照射を受ける事件があったばかり。オーストラリアのリチャード・マールズ連邦副首相兼国防相は18日、音波照射によって潜水作業中のダイバーが負傷したと発表していた。
同国防相は「危険で倫理に反した行動だ」と抗議した。ABCによると、中国側は事実関係を否定し、「オーストラリアは中国のすぐ目の前でトラブルを起こしている」と反発した。
ソナー照射は、アンソニー・アルバニージー首相が今月初め、オーストラリアの首相として7年ぶりに訪中し、中国の習近平国家主席と首脳会談を行った直後に起きた。2020年以降、オーストラリアと中国の関係は冷え込んでいた。今年に入って中国がオーストラリアへの経済制裁を緩和するなど関係改善の動きが出ているが、その裏では海洋の覇権をめぐるせめぎ合いが続いている。
■ソース
Australian warship confronted by Chinese navy last week transits sensitive Taiwan Strait(ABC News)