日本・北米以外への進出加速 オセアニア市場に橋頭堡
日本のコンビニ最大手、セブン-イレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂などを傘下に収めるセブン&アイ・ホールディングス(東京都千代田区)は11月30日、オーストラリアでセブン・イレブンを運営するコンビニエンス・グループ・ホールディングス(ビクトリア州)を買収すると発表した。同日に株式譲渡契約を締結し、オーストラリア外資審議委員会などの認可を経て2024年4月〜6月期に買収完了を目指す。
セブン・イレブン・ジャパンと米国のセブン・イレブン・インクの合弁会社であるセブン-イレブン・インターナショナルを通して、地場のファミリー企業からコンビニエンス・グループHDの全株式を17億1,000万豪ドル(約1,672億円)で取得する。
もともと米国発祥のセブン-イレブン・インクは現在、セブン・イレブン・ジャパンの完全子会社となっている。このため、両者の合弁による買収という形を取るものの、実質的には100%日系資本となる。
コンビニエンス・グループHDは、コンビニと併設のガソリンスタンド合計751店舗(23年6月末時点)などを展開している。米セブン-イレブン・インクとライセンス契約を結び、セブン-イレブンのブランドで運営していたが、資本関係はなかった。
豪店舗網拡大、グループ成長に寄与
セブン&アイHDは既に地盤を持つ日本と北米以外に25年までに5万店の店舗網を確立する計画で、今回の買収でオセアニアに強力な足場を築く。
セブン&アイHDは声明で、オーストラリアでの人口は2060年代なかばまで年間平均1.4%増のペースで長期的な成長が望まれることから、「成長ポテンシャルの高いオーストラリア市場においてもコンビニエンスストア事業におけるマーケットリーダーとしての地位を確立することになります」と指摘した。
また、南部ビクトリア州、東部ニューサウスウェールズ州、北東部クイーンズランド州、西オーストラリア州などでは「さらなる成長余地があり、積極的な新規出店が可能」と予測。オーストラリアでの店舗網の拡大によって「グループ全体の長期的な成長をさらに加速させることが可能と確信しております」と展望している。
さらに、これまで日本と北米で培ってきたノウハウを活かして「新たなイノベーションを生み、より大きな企業価値の向上が実現できる」と予測している。消費者目線では、充実した品揃えやきめ細かいサービスといった日本のコンビニ文化が、今回の買収を機にオーストラリアに広まるかどうかも注目される。
■ソース
当社子会社によるオーストラリア Convenience Group Holdings Pty Ltd の株式の取得および特定子会社の異動についてのお知らせ(株式会社セブン&アイ・ホールディングス)
7-Eleven Australia to transition to new ownership(7-Eleven Australia)